研究・論文
健康診査
Changes in Cardiovascular Risk Factors after the Great East Japan Earthquake : A Review of the Comprehensive Health Check in the Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後の循環器危険因子の変化:福島県「県民健康調査」における 健康診査の結果のまとめ
要約
2011年3月11日の東日本大震災により東京電力福島第一原子力発電所事故が起こりました。福島県においては、放射線濃度が高い地域に避難指示が出されました。避難者の多くは食事、身体活動等の生活習慣の変化を余儀なくされ、それにより循環器疾患をはじめとする生活習慣病の増加が懸念されました。そのため、福島県では、県民調査により震災前後の健診結果と避難との関連が検討されました。本研究は、これまで県民健康調査で検討された震災前後の健診結果に関する研究をまとめました。震災前(2008年度〜2010年度)の特定健診・後期高齢者健診のデータと震災後(2011年度〜2012年度)のデータを個人で紐づけて震災前後の生活習慣病の割合を比較しました。
その結果、震災前後において、避難区域では肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病、心房細動、及び赤血球増多の割合が有意に増加しました。また、震災前に肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病を持っていない人が震災後にそれぞれが新たに出現した要因を調べた結果、いずれにおいても避難したことが、震災後の肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病の出現に有意に関係していました。 したがって、避難者においては、今後心筋梗塞や脳卒中等の循環器疾患の増加が懸念されます。将来の循環器疾患の発症を予防するために、福島県と市町村が一体になって、肥満、高血圧、脂質異常、糖尿病等の管理をしていくことが必要と考えます。
書誌情報
タイトル | Changes in Cardiovascular Risk Factors after the Great East Japan Earthquake : A Review of the Comprehensive Health Check in the Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
大平哲也1)、中野裕紀1)、永井雅人1),2)、弓屋結1)、章雯1)、上村真由1)、坂井晃1)、橋本重厚1)、福島県「県民健康調査」グループ |
掲載誌 | Asia Pacific Journal of Public Health. 2017 Mar; 29(2_suppl):47S-55S. |
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