研究・論文
Influence of Post-disaster Evacuation on Incidence of Metabolic Syndrome
震災後避難がメタボリックシンドロームに及ぼす影響について
要約
目的:東日本大震災後、福島第一原子力発電所の近くに住む16万人を超える住民は、原発事故による避難を余儀なくされました。これらの避難者における健康問題は、以来大きな問題となっています。我々は、福島県民における、避難とメタボリックシンドローム(METS)の発生率との関連を調べました。
方法:私たちは災害時に福島にいてMETSではなかった40〜74歳の県民に対しコホート調査を行いました。災害前に試験対象基準を満たしていた20,269人の県民のうち8,547人(男性3,697人、女性4,850人;フォローアップの割合:42.2%)に対し災害後から2013年3月末までのフォローアップ検査を実施しました。主要転帰は日本の委員会がガイドラインで定義したMETSの発生率で、震災前後の定期健康診断のデータを使用しました。避難の有無により、参加者を避難および非避難グループに分け、結果を比較しました。ロジスティック回帰モデルを使用して、潜在的交絡因子、年齢、性別、ウエスト周囲径、運動習慣、およびアルコール摂取で調整し、 METS発生のオッズ比を推定しました。
結果:METSの発生率は、避難者では男性19.2%、女性6.6%、非避難者では男性11.0%、女性4.6%と、男女とも避難者では非避難者に比べて高い値でした。避難者は非避難者に比べ、震災後に肥満度指数、ウエスト周囲径、中性脂肪、および空腹時血糖値が高くなっていました。我々は、避難とMETSの発生率(調整オッズ比1.72、95% 信頼区間;1.46〜2.02)の間に有意な関連性を見出しました。
結論:これは災害後の避難と、METSの発生率増加の関連を実証した初めての研究です。
書誌情報
タイトル | Influence of Post-disaster Evacuation on Incidence of Metabolic Syndrome |
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著者 |
橋本重厚1)、永井雅人1),2)、福間真悟3),4)、大平哲也1),2)、細矢光亮1),5)、安村誠司1),6)、佐藤博亮1),7)、鈴木均1),8)、坂井晃1),9)、大津留晶1),10)、川崎幸彦1),5)、高橋敦史1),11)、小笹晃太郎12)、小橋元13)、神谷研二1),14)、山下俊一1),15)、福原俊一3),4)、大戸斉1)、阿部正文1)、福島県「県民健康調査」グループ |
掲載誌 | Journal of Atherosclerosis and Thrombosis. 2017 Mar 1;24(3):327-337. |
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