研究・論文
Diagnostic accuracy of Japanese posttraumatic stress measures after a complex disaster : The Fukushima Health Management Survey
複合災害後の日本版心的外傷後ストレス尺度の診断精度:福島県「県民健康調査」
要約
背景:心的外傷後ストレス障害(PTSD)チェックリスト(PCL)は、トラウマを経験した人々でPTSDをスクリーニングするのに広く使用されていますが、日本版PCLまだ検証されていません。私たちは、日本版PTSDチェックリスト特定版(PCL-S)と PCL-S省略版の診断精度を、福島第一原子力発電所事故の避難者において検討しました。
方法:51人の参加者を、避難者と臨床場面から募集しました。PCL-S、出来事インパクト尺度改訂版(IES-R)、および世界保健機関の複合国際診断インタビュー(CIDI)を用いました。PTSD診断に対する PCL-S、IES-R、PCL-S 省略版のスクリーニング特性を、感度、特異度、および診断効率を含め計算しました。また、受信者動作特性曲線を描画し、最適なカットオフ値を調べました。
結果:PCL-S の感度、特異度、および診断効率はそれぞれ66.7%、84.9%、および79.2%でした(最適カットオフは52で、曲線下面積(AUC)は0.83でした)。PCL-Sカットオフ値法による診断効率の結果は、症状クラスター法よりも良好でした。省略版でも、完全版と同等のスクリーニング特性でした。
結論:日本版PCL-Sの診断精度は、中程度で、精神障害の診断と統計マニュアル第4版(DSM-IV)に基づくPTSD診断精度はIES-Rよりもよい結果を示しました。日本版PCL-Sは、信頼性のある有効な測定法であり、その診断精度は完全版および省略版双方で妥当なものでした。
書誌情報
タイトル | Diagnostic accuracy of Japanese posttraumatic stress measures after a complex disaster : The Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
鈴木友理子1)、矢部博興2)、堀越直子3)、安村誠司3)、川上憲人4)、大津留晶5)、増子博文6)、前田正治7) |
掲載誌 | Asia Pacific Psychiatry. 2017 Mar;9(1). |
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