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健康診査

Effect of evacuation on liver function after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident : The Fukushima Health Management Survey.

福島第一原発事故後の避難生活が肝機能に及ぼした影響

要約

目的:東日本大震災と福島第一原発事故は、地域住民の日常生活を避難生活へと大きく変化させました。我々は避難生活の肝機能への影響を調べるため、災害前後の肝機能の変化を分析しました。

方法:避難区域13市町村の地域住民の方のうち、2008年から2010年の間に特定健診・後期高齢者健診を受診された男女2万7,486人を対象としました。対象者のうち、震災後の2011年6月から2013年3月までの間に再度健診を受診された方を解析対象者として、震災前後の肝障害の割合を飲酒の状況で分類して比較しました。

結果:震災後、総数2万6,006人の受診者(男性1万1,715人および女性1万4,291人)が、平均1.6年の追跡調査を受けました。肝障害の割合は全体で震災前16.4%から震災後19.2%へ有意に増加しており、非飲酒・飲酒量別でも同様に増加していました。さらに、肝障害の増加の割合が、非避難者に比べ避難者で有意に高いことも確認されました。震災後の新たな肝障害リスクを検討したところ、非避難者に比べて避難者が新たに肝障害を示すリスクは、非飲酒者で1.38倍、軽度飲酒者で1.43倍、中等度以上の飲酒者で1.24倍でした。

結論:避難生活が、飲酒状況に関係なく肝障害に関連することが明らかになりました。

書誌情報

タイトル Effect of evacuation on liver function after the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident : The Fukushima Health Management Survey.
著者

高橋敦史1),2)、大平哲也1),3)、細矢光亮1),4)、安村誠司1),5)、永井雅人1),3)、大平弘正2)、橋本重厚1),6)、 佐藤博亮1),6)、坂井晃1),7)、大津留晶1),8)、川崎幸彦1),4)、鈴木均1),9)、小橋元10)、 小笹晃太郎11)、山下俊一1),12)、神谷研二1),13)、阿部正文1)、福島県「県民健康調査」グループ
1)福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、2)福島県立医科大学医学部消化器内科学講座、3)福島県立医科大学医学部疫学講座、4)福島県立医科大学医学部小児科学講座、5)福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、6)福島県立医科大学医学部腎臓高血圧・糖尿病内分泌代謝内科学講座、7)福島県立医科大学放射線生命科学講座、8)福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座、9)福島県立医科大学医学部循環器・血液内科学講座、10)獨協医科大学公衆衛生学講座、11)放射線影響研究所疫学部、12)長崎大学原爆後障害医療研究所、13)広島大学原爆放射線医科学研究所

掲載誌 Journal of Epidemiology. 2017 Apr;27(4):180-185.
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