研究・論文

こころの健康度・生活習慣に関する調査

Fukushima Mental Health and Suicide

福島、メンタルヘルス、そして自殺

要約

福島県においては、震災以後、他被災県にくらべ震災関連自殺は多く、また自殺者数、自殺率ともに震災後いったん減少したものの、たとえば標準化自殺死亡比(注)をみると、近年再び上昇に転じつつあります。国内外の、他の大規模災害の研究でも、このようにいったん自殺が減少したのち増加するという現象は見られており、本県でも今後自殺対策を着実に行う必要があります。そのためには、①自殺要因の分析、②専門職スタッフの養成、③ハイリスク者に焦点を絞った介入、④精神医療に対するスティグマの払しょくが必要となると考えられます。
注:標準化自殺死亡比とは、年齢の影響を排除して、予想される自殺者と実際の自殺者の比。正確な自殺の要因の分析にしばしば用いられる指標。

書誌情報

タイトル Fukushima Mental Health and Suicide
著者

前田正治1),2)、大江美佐里3)、Evelyn Bromet4)、安村誠司2),3)、大戸斉2)
1)福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、2)福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、3)久留米大学医学部神経精神医学講座、4)Department of Psychiatry, Stony Brook University, New York, New York, USA、5)福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座

掲載誌 Journal of Epidemiology and Community Health. 2016 Sep;70(9):843-844.
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