研究・論文
Association of severe stress with the onset of chronic kidney disease after the Great East Japan Earthquake: the Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後の重度ストレスの慢性腎臓病発症への関連
要約
東日本大震災後の双葉地方の住民において慢性腎臓病の新規発症に関連した要因を探索した。震災発生時に双葉地方に居住しており、2012年2月の段階では慢性腎臓病に罹患していないことが確認されていた17,859人(男:女=7,333:10,526、61.0±10.2歳)を平均3.42±1.51年追跡調査した。追跡期間中に4,294人(男:女=1,782:2,512)が新たに慢性腎臓病を発症した。年齢、脂質異常、肥満、高血圧、高尿酸血症などの既知の危険因子に加えて、ケスラー6スコア13点以上と定義した高ストレス状態もまた慢性腎臓病発症の有意な危険因子であることが示された。従来ストレスは慢性腎臓病の進行を促進させる因子であることが指摘されており、また慢性腎臓病患者の総死亡リスクと関連することも報告されていた。しかし、本論文は慢性腎臓病の新規発症にもストレスが関連していたことを示す世界初の報告である。これは高ストレス状態にある参加者の割合が著しく高いコホートを調査したからこそ得られた結果であり、裏を返せば双葉地方の住民が如何に強いストレスに苛まれてきたかを示す証左であるともいえよう。病態生理メカニズムとしてはストレスに伴う交感神経緊張が糸球体血行を変化させことが想定される。慢性腎臓病は既に国民の5人に1人が罹患している頻度の多い疾患であるが、社会レベルのストレスマネージメントがその新たな発症予防策となるかもしれない。
書誌情報
| タイトル | Association of severe stress with the onset of chronic kidney disease after the Great East Japan Earthquake: the Fukushima Health Management Survey |
|---|---|
| 著者 |
風間咲美1, 2、林史和1, 3、田中健一4、佐藤志帆1, 3、上田由桂1, 3、岡崎可奈子1, 3, 5、大平哲也1, 3、坂井晃1, 6、前田正治1, 7、矢部博興1, 8、細矢光亮1, 9、高橋敦史1, 10、中野裕紀1, 3、長尾匡則1, 3、島袋充生1, 11、大戸斉1、安村誠司1、風間順一郎1, 4 |
| 掲載誌 | Clin Exp Nephrol. 2025 Nov 24. |
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