研究・論文
Potential implications of thyroid autoantibodies in children, adolescents, and young adults with thyroid nodules in Japan: The Fukushima Health Management Survey
甲状腺結節のある小児、青少年、若年成人における甲状腺関連自己抗体の臨床的意義:福島県「県民健康調査」
要約
福島県「県民健康調査」甲状腺検査は、震災時福島県在住の18歳以下を対象に検査を実施しています。検査で主に結節と判定された方に対し、さらに超音波検査と血液検査を行っています。今回、小児・青年期における抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の甲状腺関連抗体(Tab)の臨床的意義について検討を行いました。
【方法】甲状腺がんを含む結節のある3〜29歳の3018名を対象としました。男女比、びまん性甲状腺腫(DG)、甲状腺乳頭がん(PTC)と診断された受診者のTab陽性率を分析しました。体格指数(BMI)と甲状腺容積 (BWTAR)は性、年齢、体表面積で違うので、それぞれをBMI-SDS、BWTAR-SDSとして標準化しました。トレンド検定を用い、SDS階級ごとのTab陽性率の傾向を分析しました。ロジスティック解析を使用して、性別、年齢、BMI-SDS、BWTAR-SDS、びまん性腫大、PTC、甲状腺刺激ホルモン(TSH)とTabとの関係を調べました。
【結果】Tab陽性率は全体で13.9%であり、女性、DG、PTC群で高値でした。一方、年齢やBMIとの相関はありませんでした。また、Tab陽性はBWTARの増加や、TSHの上昇と関連していました。
【考察】女性、DG、PTCの存在でTabが陽性であるという所見は、成人の所見と一致していました。また、既報で結節頻度とBMIに正の相関があり、びまん性腫大が年齢やBMIと正の相関を認めることを報告しています。それに対し、結節の集団ではTab陽性の頻度は年齢やBMIと無関係であることを明らかにしました。
【結論】小児・青年期におけるTabの臨床的特徴を明らかにしました。小児・青年期の無症候性甲状腺結節の症例では、Tab陽性が、超音波所見、甲状腺機能、PTCの診断において有用な情報となる可能性があります。
書誌情報
タイトル | Potential implications of thyroid autoantibodies in children, adolescents, and young adults with thyroid nodules in Japan: The Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
田﨑里奈1、小橋友理江1, 9、中畑那奈1、浅野眞比呂1、阿部紀和1、江尻遥香1、佐藤綾子1、長嶺夏希1、山谷幸恵1, 5、髙橋智里1, 2、岩舘学3、松塚崇4、鈴木聡1, 5、大平哲也1, 6、鈴木悟1, 7、古屋文彦1, 5、志村浩己1, 2、鈴木眞一8、横谷進1、山下俊一1, 9、大戸斉1、安村誠司1,10 |
掲載誌 | Endocr J. 2024 Sep 20. |
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