研究・論文
妊産婦に関する調査
Eight-Year Trends in the Effect of the Great East Japan Earthquake on Obstetrics Outcomes: A Study from the Fukushima Health Management Survey
東日本大震災による産科医療への影響の8年間の傾向:福島県「県民健康調査」
要約
自然・環境災害が出産に及ぼす縦断的な影響に関する情報は限られています。
本研究は、東日本大震災及び福島原発事故後8年間の妊産婦に関する調査結果の長期的変化の分析を目的としました。2011年から開始した、福島県「県民健康調査」の詳細調査の1つである「妊産婦に関する調査」の最初の8年間のデータを、福島県6方部に分けて比較しました。早産(妊娠37週以前の出産)、低出生体重児、先天性奇形児の発生における長期的傾向を福島県6方部すべてについてマンテル・ヘンツェル検定を用いて評価しました。対象者は調査回答者の57,537人です。対象者の特徴として、対象期間の8年間で、出産年齢、不妊治療後の受胎率、帝王切開分娩率が上昇しました。結論として、早産と低出生体重児の発生率については、福島県全体と比較して、福島県6方部の一部の地域間で有意差が認められたものの、福島県全体としては、早産、低出生体重児、先天性奇形児の発生率に有意な傾向は認められませんでした。なお、東日本大震災と福島原発事故は、事故発生以降の帝王切開分娩率の増加と関連付けられることもありますが、本調査では出産への重大な悪影響は見られませんでした。
書誌情報
タイトル | Eight-Year Trends in the Effect of the Great East Japan Earthquake on Obstetrics Outcomes: A Study from the Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
経塚標1、大平哲也2, 3、村田強志1、安田俊1, 2、石井佳世子2、安村誠司2, 4、藤森敬也1、大戸斉2、神谷研二2 |
掲載誌 | Life (Basel). 2023 Aug 8;13(8):1702. |
関連リンク |