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健康診査

Changes in the proportion of anemia among young women after the Great East Japan Earthquake: the Fukushima health management survey

東日本大震災後の若年女性における貧血の割合の変化:福島県「県民健康調査」

要約

本研究は、2011年に発生した東日本大震災後の8年間における若年女性の貧血の割合の経年的な変化を、福島県「県民健康調査」の前向き調査のデータを用いて評価することを目的としました。福島第一原子力発電所事故の避難区域に居住する20歳から44歳の女性を対象とし、2011年7月から2019年3月までの県民健康調査の「健康診査」のデータを用いて、調査年ごとの年齢調整後の貧血の割合を算出しました。
2011年には合計9,198人の女性が健康診査に参加していましたが、2018年には1,241人に減少していたことがわかりました。貧血の年齢調整後の割合は、2012年には16.7%でしたが、2013年以降は減少していたことがわかりました(Cochran-Armitage trend testによるとp =0.03)。多変量回帰分析により、震災後に一時的な貧血をきたす群の関連因子として、肥満度(BMI)23kg/m2未満、非喫煙歴、非飲酒習慣が同定されました(調整オッズ比[95%信頼区間];各々、1.98 [1.43-2.74]and p < 0.001, 1.85 [1.21-2.83]and p = 0.004,1.42 [1.07-1.90]and p = 0.02)。
本研究において、BMIが低く、健康的な生活習慣を持つ痩せ傾向にある若年女性は、震災直後に一時的に貧血状態になる可能性が示唆されたことから、特に震災直後の若年女性の貧血を予防することの重要性を示唆すると考えます。今後も「健康診査」を継続して実施し、若年女性の貧血への影響についても経年的に調査を継続することが重要であると考えます。

書誌情報

タイトル Changes in the proportion of anemia among young women after the Great East Japan Earthquake: the Fukushima health management survey
著者

山本佳奈1、瀧田盛仁2, 3、上昌広4、武元良整5、大平哲也6,7、前田正治6, 8、安村誠司6, 9、坂井晃6, 10、細矢光亮6, 11、岡崎可奈子6, 7、矢部博興12、北村俊雄13、坪倉正治2, 6、島袋充生6, 14、大戸斉6、神谷研二6, 15
1 東京大学大学院医学系研究科内科学専攻、2 福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座、3 ナビタスクリニック立川、4 医療ガバナンス研究所、5 よしのぶクリニック、6 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、7 福島県立医科大学医学部疫学講座、8 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、9 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、10 福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座、11 福島県立医科大学医学部小児科学講座、12 福島県立医科大学医学部神経精神医学講座、13 東京大学医科学研究所先端医療研究センター細胞療法分野、14 福島県立医科大学医学部糖尿病内分泌代謝内科学講座、15 広島大学原爆放射線医科学研究所

掲載誌 Sci Rep. 2022 Jun 25;12(1):10805.
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