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甲状腺検査

Psychosocial support for the examinees and their families during the secondary confirmatory examination:Analyses of support records at first visit

甲状腺検査二次検査の受診者と家族への心理社会的支援 ~初回受診時の支援記録の分析~

要約

県民健康調査甲状腺検査は福島県県民健康調査の一環として実施されており、一次検査のあと、ある一定の大きさを超えたのう胞や結節が見つかった場合に、二次検査に呼ばれて精査を受けます。二次検査に呼ばれることは、本人にも家族にも甲状腺がんに関連する不安が大きいため、福島県立医科大学では、その不安を軽減するために2013年に「甲状腺サポートチーム」を発足させました。本研究では、サポート担当者の2種類の記録を通して、受診者とその家族に対する心理社会的支援の現状を分析しました。
2018年9月~2019年3月に福島県立医科大学で実施した二次検査に参加した受診者の初診時の支援記録223件を分析したところ、受診者や家族からは「甲状腺検査(TUE)」やその日の「検査所見」についての相談や質問が多く寄せられていました。それに対し、甲状腺サポートチームは、受診者や家族の訴えをお聞きし、それに合わせて「医師の説明の確認」「質問への対応」「情報提供」などの支援を行っていました。そのような支援により、不安が高い人の割合は、受診後に受診者・家族ともに減少していました。また、過去に二次検査を受けた人は、初めての方に比べて不安の程度が低いこともわかりました。また、家族の不安は受診者に比べると有意に高く、不安の高さは、受診者とその家族の間で高い相関関係がありました。
これらのことから、受診者やその家族への心理社会的支援は、不安を軽減する上で重要であると考えられました。現在、社会情勢の変化や甲状腺検査に対するさまざまな議論があり、また、受診者の年齢が上がっていることから、今後も受診者や家族への丁寧な説明と意思決定の支援、そして県内外の心理社会的支援の拡充をはかっていく必要があると考えられました。

書誌情報

タイトル Psychosocial support for the examinees and their families during the secondary confirmatory examination:Analyses of support records at first visit
著者

瀬藤乃理子1,2、鈴木悟1、松塚崇1,3、岩舘学1,4、前田正治1,2、行形裕子1、吉田房江1、大島加代子1、 大平哲也1,5、安村誠司1,6、大戸斉1、神谷研二1、横谷進1,7、志村浩己1,8
1 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、2 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、3 朝日大学病院耳鼻咽喉科、4 福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座、5 福島県立医科大学医学部疫学講座、6 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、7 福島県立医科大学甲状腺・内分泌センター、8 福島県立医科大学医学部臨床検査医学講座

掲載誌 Fukushima J Med Sci. 2021 Aug 27;67(2):53-63.
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