研究・論文
Relationship between risk of hyper- low-density lipoprotein cholesterolemia and evacuation after the Great East Japan Earthquake.
東日本大震災後における高LDLコレステロール血症と避難との関連:福島県県民健康調査
要約
目的:東日本大震災と東京電力福島第一原発事故により、住⺠の避難が余儀なくされ、避難者のライフスタイルに多くの変化がもたらされました。生活習慣病の予防を支援するために県⺠健康調査を実施し、⻑期避難が高LDL コレステロール血症の発生率に及ぼす影響を検討しました。
方法:本研究は、避難区域 13 市町村の地域住⺠のうち、2011 年または 2012 年の間に健康診査を受診され、かつ、2013 年から 2014 年の間に健康診査を受診され、かつ、高 LDL コレステロール血症を発症していない 18,670人を対象と解析を行いました。
結果:高 LDL コレステロール血症の新規発症率は、非避難者よりも避難者の方が 31%有意に高かったことがわかりました。避難者は、非避難者よりも肥満、高血圧、糖尿病の有病率が有意に高い値でした。さらに、ロジステック回帰モデル分析を使用して、年齢、性別、肥満度指数、喫煙習慣、アルコール消費、糖尿病、体重変化、睡眠不足を調整し、高 LDL コレステロール血症発症リスクを推定したところ、避難が高 LDL コレステロール血症の新規発症率と有意に関連していることを示しました。
結論:本研究の結果は、災害後の⻑期の避難が高 LDL コレステロール血症の新規発症の危険因子であり、心血管疾患の増加につながることを示唆しています。したがって、避難者をフォローアップし、必要に応じてライフスタイルの改善を指導することが重要です。
書誌情報
タイトル | Relationship between risk of hyper- low-density lipoprotein cholesterolemia and evacuation after the Great East Japan Earthquake. |
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著者 |
佐藤 博亮 1,2、岡崎可奈子 1,3、大平哲也 1,3、坂井晃 1,4、細矢光亮 1,5、安村誠司 1,6、川崎幸彦 1,5,7、橋本浩一 1,5、大津留晶 1,8、高橋敦史 1,9、渡辺和之 1,10、島袋充生 1,11、風間順一郎 1,12、橋本重厚 1,13、小橋元 1,4、大平弘正 1,9、大戶⻫ 1、神谷研二 1、福島県県⺠健康調査グループ
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掲載誌 | Journal of Epidemiology. 2021 Jan 13. |
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