研究・論文
Trajectories of peer relationship problems and emotional symptoms in children 5 years after a nuclear disaster: Fukushima Health Management Survey.
原子力災害から5年後の子どもたちにおける仲間関係の問題と感情症状の問題の軌跡:福島県県民健康調査
要約
2011 年 3 月に発生した福島第一原子力発電所(NPS)の事故は、子どもたちに⻑期的な影響を及ぼしています。私たちは事故から約3年後、仲間関係の問題は3つのグループに、感情症状については4つのグループに分かれることを明らかにし、その結果、さまざまな要因が、仲間関係の問題や感情症状の深刻な軌跡に関連している可能性があることを報告しました(大江, 2018)。
この研究の目的は、上記の3カ年の解析の反復研究として、子どもたちの仲間関係の問題と感情症状の軌跡 を説明し、NPS 事故後5年間にわたる潜在的なメンタルヘルスのリスクと保護因子を調べることでした。政府 指定の避難指示区域内に居住していた7013人(2011年3月11日時点で6〜12歳)を対象に、2011年度から2015年度のこころの健康度・生活習慣に関する調査において、少なくとも1度回答を得られた項目を分析に利 用しました。今回は、仲間関係の問題の4つのグループに、感情症状については5つのグループとしました。 その結果、子どもたちの仲間関係の問題については、男子であること、NPSの爆発を経験したこと、運動習慣が無いことが悪化方向への推移と関連していました。感情症状については、NPSの爆発を経験したこと、津波災害を経験したこと、運動習慣が無いことが、悪化方向への推移と関連していました。特に、原発事故後の子どもたちの避難者のメンタルヘルスにとって、運動習慣は非常に重要です。
書誌情報
タイトル | Trajectories of peer relationship problems and emotional symptoms in children 5 years after a nuclear disaster: Fukushima Health Management Survey. |
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著者 |
板垣俊太郎 1,2、竹林由武 1,3、村上道夫 1,3、針金まゆみ 1,4、前田正治 1,5、水木理恵 1、及川祐一 1、後藤紗織 1,5、桃井真帆 1,5、三浦至 1,2、大平哲也 1,6、大江美佐里 7、矢部博興 1,2、安村誠司 1,4、神谷研二 1,8
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掲載誌 | J Radiat Res. 2021 May 5;62(Supplement_1):i114-i121. |
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