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こころの健康度・生活習慣に関する調査

東日本大震災における避難場所の違いによる生活習慣の実態と電話支援の取り組みについて

東日本大震災における避難場所の違いによる生活習慣の実態と電話支援の取り組みについて

要約

【目的】
福島県立医科大学では、福島県からの委託を受け、東日本大震災後の原子力発電所事故に伴う放射線の健康影響を踏まえ、将来にわたる県民の健康管理を目的として平成 23 年度から「県民健康管理調査」を実施しています。
そのうち、同年の「こころの健康度・生活習慣に関する調査」に回答いただいた方で、生活習慣関連の支援の必要があると判断された方に、状況確認、助言および医療機関につなぐことを目的に、保健師・看護師等による電話支援を行いました。

【方法】
国が指定した避難区域等の 13 市町村の住民(区分:一般)180,604 人を対象としました。電話による支援の選定基準は、睡眠障害、高血圧、または糖尿病の診断を受けたが通院していない方、自覚症状が災害後悪化した方、多量飲酒が認められる方としました。

【結果】
有効回答数 73,433 人(女性 56.0%、県外避難者 19.1%)のうち、生活習慣に関する支援の候補となった方は 68,785人でした。そのうち、電話による支援の対象者は 2,882 人(4.2%)で、女性は 54.0%でした。また、県外に避難なさった方は、県内に避難なさった方に比べ、電話による支援の選定基準に該当する項目数が有意に多く(オッズ比(OR) = 1.36、p <0.001)、また、「睡眠障害」(OR= l.75、p <0.001)および「自覚症状」(OR= l.44、p <0.001)のある方が有意に多くいらっしゃいました。電話による支援の対象者のうち、電話番号の未記載や留守等 910 人(31.6%)を除く、1,972 人(68.4%)に電話による支援を実施しました。支援の結果、受診勧奨または、健康相談等をした方の割合は、県外に避難なさった方が 41.3%で、県内に避難なさった方の 31.5%に比べて有意に多くいらっしゃいました(p <0.001)。

【結論】
県外に避難なさった方は、県内に避難なさった方と比べ電話支援の対象に該当する割合が多く、避難生活が生活習慣に影響している可能性が考えられます。また、県外に避難なさった方は、「睡眠障害」に該当する方の割合が多く、震災後早期より睡眠状況を把握し、良好な睡眠を確保できるよう助言をし、適切な支援につなげることの意義は大きいと考えます。アクセスしやすい電話支援は、避難場所を問わずに状況確認や健康相談を実施でき、広域にまたがる避難の場合、有用な支援方法の一つと考えられます。ただし、本調査で実施した電話支援は、調査票の回答があった方のみに限定しています。そのため、今後健康づくり等に資する活動を推進していくうえで、市町村との連携を強化していくことが必要であると考えます。

書誌情報

タイトル 東日本大震災における避難場所の違いによる生活習慣の実態と電話支援の取り組みについて
著者

放射線医学県民健康管理センター:堀越直子、大平哲也、結城美智子、矢部博興、安村誠司、県民健康管理調査
平成 23 年度「こころの健康度・生活習慣に関する調査」グループ

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