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Current status of the Fukushima Health Management Survey

福島県「県民健康調査」の現状

要約

2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所事故を受けて、福島県「県民健康調査」が実施されました。長期的に住民の健康状態を観察すること、将来住民がより幸せになること、そして長期的な低線量の放射線被ばくが健康に影響を与えるかどうかを確認することでした。
この調査により、住民の放射線被ばく線量は極めて低いレベルであることが示され、放射線による健康影響は認識できないレベルに収まるものと考えられました。しかしながら、東日本大震災の地震や津波のみの地域の人々に比べ、福島の住民の心理的苦痛がはるかに大きいことが分かりました。さらには、避難をされている方々に、過体重(太りすぎ)、高血圧、糖尿病、脂質異常、肝機能障害などの生活習慣による健康問題も増えました。症状のない人々に対する甲状腺超音波検査も実施され、人々の放射線健康影響への不安に対して貢献しました。また、健康調査と疫学研究を計画・実施するためには倫理的配慮が極めて重要であることを、この調査は最終的に示しました。

書誌情報

タイトル Current status of the Fukushima Health Management Survey
著者

熊谷敦史1)、谷川攻一2)
1)福島県立医科大学災害医療総合学習センター、2)ふくしま国際医療科学センター

掲載誌 Radiation Protection Dosimetry. 2018 Dec;182(1):31-39.
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