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甲状腺検査

Associations Between Childhood Thyroid Cancer and External Radiation Dose After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident.

福島第一原子力発電所事故後の外部被ばく線量と子どもの甲状腺がんとの関連

要約

2011年東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所放射線事故が発生しました。福島県では放射線被ばくによる健康被害の心配に対応するため、震災時18歳以下の福島県民を対象に、福島県「県民健康調査」甲状腺検査が行われています。私達はこれまで先行検査(検査1回目)のデータを解析し、福島県内の外部被ばく線量によって区分された地域と甲状腺がんとの関連はみられないことを報告しました。しかしながら、これまでの報告では県内を3区分に分けて解析したのみでしたので、今回先行検査の最終データを用いて再解析を行いました。2011年10月~2015年4月までに300,473人が検査を受診され、そのうち116人が細胞診検査において甲状腺がんまたはその疑いと診断されました。次に、個人毎に評価された外部被ばく線量が1mSv以上であった人の割合を59市町村別に算出し、その割合が高い順に59市町村を5分位(ほぼ20%ずつの5つの区域)に分けて、甲状腺がん発見率との関連を解析しました。その結果、外部被ばく線量が一番低い地域に比べた甲状腺がん発見率のオッズ比(危険度)は放射線が高い地域から順に、0.95倍、1.44倍、1.05倍、1.08倍でありいずれも統計学的に意味のある差はみられませんでした。また、個人の外部被ばく線量と甲状腺がんとの関連を検討した結果でも、外部被ばく線量と甲状腺がんとの関連はみられませんでした。したがって、先行検査の結果からは放射線外部被ばく線量と甲状腺がんとの間に統計学的に意味のある関連はみられませんでした。しかしながら、本研究は先行検査のみで解析を行ったものですので、今後本格検査(検査2回目以降)の結果をみていく必要があります。

書誌情報

タイトル Associations Between Childhood Thyroid Cancer and External Radiation Dose After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant Accident.
著者

大平哲也1),2)、高橋秀人1),3)、安村誠司1),4)、大津留晶1),5)、緑川早苗1),5)、鈴木悟1)、松塚崇1),6)、志村浩己1),7)、石川徹夫1),8)、坂井晃1),9)、山下俊一1),10)、谷川攻一1)、大戸斉1)、神谷研二1),11)、鈴木眞一12)
1)福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、2)福島県立医科大学医学部疫学講座、3)国立保健医療科学院、4)福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、5)福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座、6)福島県立医科大学医学部耳鼻咽喉科学講座、7)福島県立医科大学医学部臨床検査医学講座、8)福島県立医科大学医学部放射線物理化学講座、9)福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座、10)長崎大学原爆後障害医療研究所、11)広島大学原爆放射線医科学研究所、12)福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座

掲載誌 Epidemiology, 2018;29(4):e32-e34
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