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基本調査

Early Intake of Radiocesium by Residents Living Near the TEPCO Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant After the Accident. Part 2: Relationship Between Internal Dose and Evacuation Behavior in Individuals

福島第一原発周辺に居住していた方の事故後初期のセシウム摂取-個人の避難行動と内部被ばく線量との関連

要約

放射線医学総合研究所では、2011年6月27日から7月28日にかけて、飯舘村、浪江町などからの避難者を含む174名に関するホールボディカウンタ測定を実施しました。これらの方々についてセシウムによる内部被ばく実効線量の分布を調べてみると、90パーセンタイル(線量の高い順に174名を並べたときに、上位から10%(17-18番目)に相当する方)の線量で約0.1mSvでした。この174名に関して、基本調査の問診票(事故後の行動の記録)を提出しているかどうかを調査したところ、112名の方が問診票を提出していました。
112名の方の内部被ばく実効線量は、問診票を提出していない方を含む174名の方と同様で、90パーセンタイル値は約0.1mSvでした。次に、これら112名の方々について避難行動と内部被ばく線量との関連を解析しました。その結果、多くの方が3月12日夜までに2km圏外に避難されていることがわかりました。各個人について、3月のある時点における居場所から東京電力(株)福島第一原子力発電所までの距離と、内部被ばく線量との関連も解析されましたが、3月のどの時点においても原発からの距離と線量との間に関連は見られませんでした。
ただ内部被ばく線量が高かった上位10%の方(線量が0.1mSv以上の方)について解析してみると、全ての方が3月12日16時の時点では2km圏内におり、3月15日0時の時点でも42.9%の方が20km内に残っていました。線量が0.1mSv以下の方についても同様に2km圏内に残っていた方の割合を評価し比較してみると、線量が0.1mSv以上の方のほうが2km圏内に残っている割合がだいぶ高いことがわかりました。この結果から、避難の時刻は初期の内部被ばく線量評価に影響を及ぼす一因であることが示唆されました。ただ明確な結論を得るためには、より多くの行動記録を解析する必要があると考えられます。

書誌情報

タイトル Early Intake of Radiocesium by Residents Living Near the TEPCO Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant After the Accident. Part 2: Relationship Between Internal Dose and Evacuation Behavior in Individuals
著者

國島直晃1),2),3)、栗原治1)、金ウンジュ1)、石川徹夫4)、仲野高志1)、福津久美子1)、谷幸太郎1)、古山一夫1)、橋本昇三1)、蜂谷みさお5)、直居 豊3)、明石真言1)
1)量子科学技術研究開発機構放射線医学総合研究所、2)自衛隊中央病院、3)順天堂大学、4)福島県立医科大学、5)原子力安全技術センター

掲載誌 Health Physics. 2017 Jun;112(6):512-525.
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