研究・論文
White blood cell, Neutrophil, and Lymphocyte Counts in individuals in the evacuation zone designated by the government After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident : The Fukushima Health Management Survey
福島第一原発事故後の避難地区住民における白血球数と白血球分画 ~福島県「県民健康調査」~
要約
背景:白血球の中でもリンパ球は放射線感受性が高く、好中球数やリンパ球数を含め白血球数の解析は被ばく線量評価に有用である。震災後の福島県「県民健康管理調査」基本調査によると、避難指示の出された13地区の中で飯舘村と浪江町において、外部被ばく線量推計値が5mSv以上の住民がそれ以外の地域と比較して多く、住民の放射線被ばくに対する不安の原因となっている。そこで震災後この地域の住民において好中球やリンパ球分画を含め白血球数の減少がないか解析した。
方法:対象は、2011年6月から2012年3月の間に健康診査を受けた避難指示の出された13地区の20歳から99歳までの住民45,278人(男性18,953人、女性26,325人)。
結果:白血球数、好中球数、リンパ球数の平均値および白血球と好中球の基準値以下の住民の割合は、13地区の中で有意差を認めた。しかしながら、200/μlごとのリンパ球の分布状況は13地区で類似しており、さらに外部被ばく線量推計値が5mSv以上の人が多かった飯舘村と浪江町において白血球数や好中球数、リンパ球数の減少を特に認めなかった。
結論:震災後1年以内の健康診査において、避難指示の出された13地区の中で好中球数やリンパ球数を含め白血球数の分布状況に放射線被ばくの影響は見出されなかった。
書誌情報
タイトル | White blood cell, Neutrophil, and Lymphocyte Counts in individuals in the evacuation zone designated by the government After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident : The Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
坂井晃1),11)、大平哲也2),11)、細矢光亮3),11)、大津留晶4),11)、佐藤博亮5),11)、川崎幸彦3),11)、鈴木均6),11)、高橋敦史7),11)、小橋元8)、小笹晃太郎9)、安村誠司10),11)、山下俊一11),12)、神谷研二11),13)、阿部正文11)、福島県「県民健康管理調査」グループ |
掲載誌 | Journal of Epidemiology. 2015 Jan 5;25(1):80-7. |
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