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Communicating With Residents About Risks Following the Fukushima Nuclear Accident

福島原発事故後のリスクについての住民との対話

要約

2011年3月の福島原発事故は一般公衆に脅威をもたらしました。これに対し、医療専門家は住民とリスクに関する対話を行ってきました。リスクコミュニケーションの形態を調査し、得られた教訓を共有するために、福島県にて県レベルから個人レベルで行われた医療専門家の活動について概観しました。
対象としたのは、福島県「県民健康調査」を通じた公衆との対話、よろず健康相談、飯舘村と川内村で行われた放射線と健康増進に関するコミュニケーション、ホールボディカウンターに基づく対話、オンラインメディアを通じたサイエンスコミュニケーションです。
これらの活動は概して、主に集団ベースでの議論による放射線リスクから始まり、徐々に、対個人の包括的な健康リスクとウェルビーイングに関する1対1のコミュニケーションへとシフトしました。これらの活動は、住民の意思決定を支えるとともに、一般参加型の方法によって健康増進を進めることを目的としていました。
本稿によって、現在進行形のリスクコミュニケーションの事例を体系的に評価すること、ならびに、福島の復興と将来的な災害へのよりよい準備に向けての成功事例を広域へ展開することが重要であることが示されました。

書誌情報

タイトル Communicating With Residents About Risks Following the Fukushima Nuclear Accident
著者

村上道夫1)、佐藤映子2)、 松井史郎1)、後藤あや1)、熊谷敦史1)、坪倉正治3),4)、折田真紀子5)、高村昇5)、黒田佑次郎1)、越智小枝3)
1)福島県立医科大学、2)国連大学サステイナビリティ高等研究所、3)相馬中央病院、4)南相馬市立総合病院、5)長崎大学

掲載誌 Asia Pacific Journal of Public Health. 2017 Mar;29(2_suppl):74S-89S.
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