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こころの健康度・生活習慣に関する調査

Association between psychological distress and dietary intake among evacuees after the Great East Japan Earthquake in a cross-sectional study : the Fukushima Health Management Survey

横断的研究によって明らかにする東日本大震災後の避難生活者の心理的苦痛と 食事摂取との関連性:福島県「県民健康調査」

要約

目的:心理的苦痛は一般的に、好ましくない食事摂取と関連性があります。しかし、大規模な災害に遭った後の住民を対象にこのことが調査された例は過去にありませんでした。私たちは、2011年の東日本大震災後の避難生活者の食事摂取と非特異的精神的苦痛、並びに心的外傷症状との関連性を明らかにすることを試みました。

手法:2012年に福島県「県民健康調査」に回答した63,047名の避難生活者(男性27,901名、女性35,146名)を分析したこの横断的研究では、ケスラー6(K6)スケールを用いて非特異的精神的苦痛を分析し、一方心的外傷症状は心的外傷後ストレス障害(PTSD)チェックリストのストレス要因特異版(PCL-S)を用いて評価しました。アウトカムは19のターゲット食品の「低頻度」(食事摂取頻度調査票による日次摂取が25パーセンタイル以下)としました。オッズ比(OR)の推定にはロジスティック回帰分析を使用し、95%信頼区間については人口動態因子、生活習慣関連因子および災害関連因子で調整しました。

結果:調査参加者のうち、14.7%が非特異的精神的苦痛を経験しており、21.2%が心的外傷症状を示していました。多変数調整ロジスティック回帰分析によれば、前者は米、パン、魚、肉、野菜または果物(ジュースを除く)、大豆製品、牛乳、ヨーグルトまたは乳酸菌飲料など特定の食品の摂取頻度が低い可能性があり、一方後者もまた、米、パン、魚、肉、野菜または果物(ジュースを除く)、牛乳、ヨーグルトまたは乳酸菌飲料など特定の食品の摂取頻度が低い可能性があるものの、こちらは逆に野菜ジュースや果物のジュースをより高頻度で摂取していました。これらの食物摂取と非特異的精神的苦痛、並びに心的外傷症状との関連性は、特に女性の間で顕著に見られました。

結論:東日本大震災後の避難生活者の心理的苦痛は、特定の食品の摂取頻度の低さと関連性があり、その関連性は特に女性の間で顕著に見られました。

書誌情報

タイトル Association between psychological distress and dietary intake among evacuees after the Great East Japan Earthquake in a cross-sectional study : the Fukushima Health Management Survey
著者

上村真由1)、大平哲也1),2)、安村誠司2),3)、大津留晶2),4)、前田正治2),5)、針金まゆみ2)、堀越直子2)、鈴木友理子6)、矢部博興2),7)、高橋秀人2)、永井雅人1),2)、中野裕紀1),2)、 章ぶん1)、広崎真弓1)、阿部正文2)
1)福島県立医科大学医学部疫学講座、2)福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、3)福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、4)福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座、5)福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、6)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所、7)福島県立医科大学医学部神経精神医学講座

掲載誌 BMJ open. 2016 Jul 5;6(7):e011534.
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