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こころの健康度・生活習慣に関する調査

Evacuation after the Great East Japan Earthquake was associated with poor dietary intake : the Fukushima Health Management Survey

東日本大震災後の避難生活に伴う食事摂取の不足:福島県「県民健康調査」

要約

背景:震災後の避難生活者の住居形態と食事摂取との相関関係を調査した研究はほとんどありません。

目的:2011年の東日本大震災後の避難生活者を対象にした大規模コホート調査のデータを利用して、上記の相関関係を分析します。

手法:避難区域の住民を対象に県民健康調査としてアンケート調査を実施し、73,433名から回答を得ました。住居形態についての報告がなかった回答や食事摂取について必要な情報が3つ以上欠けている回答は対象者から除外しています。最終的に、対象者52,314名(15歳以上、男性23,149名、女性29,165名)のデータを分析に使用しました。
避難生活者の住居形態は、「避難所または仮設住宅」、「賃貸住宅またはアパート」、「親戚の家または自宅」の3つのカテゴリーに分類されています。食事摂取は、穀物、野菜または果物、肉、大豆製品、乳製品、魚のカテゴリーに分けて調査を行いました。その食品群において一日当たり第3四分位(Q3)以上の摂取があった場合、その食品群は「高摂取」と定義づけられます。
修正ポアソン回帰分析により、相対リスク比(PR)と95%信頼区間(CI)を推定しました。

結果:修正ポアソン回帰分析により、親戚の家や自宅で暮らしている回答者と比べて、賃貸アパートで暮らし、果物と野菜(ジュースを除く)、肉、大豆製品、および乳製品が高摂取の人々の PRと95%CI は、それぞれ0.69(0.61-0.77)、0.82(0.73-0.91)、0.89(0.83-0.94)、および0.83(0.74-0.93)でした。避難所または仮設住宅に暮らす人々の同 RR および95%CI は、それぞれ0.83(0.78-0.88)、0.90(0.86-0.95)、0.94(0.91-0.97)、および0.91(0.86-0.96)でした。

結論:この研究により、震災後、自宅でない場所で暮らすことと、果物と野菜(ジュースを除く)、肉、大豆製品、および乳製品の摂取不足との間に関連があり、自宅でない環境で暮らす避難生活者へのバランスのとれた食事の供給の早期改善が必要であることが示唆されています。

書誌情報

タイトル Evacuation after the Great East Japan Earthquake was associated with poor dietary intake : the Fukushima Health Management Survey
著者

章ぶん1)、大平哲也1),2)、阿部正文2)、神谷研二2),3)、山下俊一2),4)、安村誠司2),5)、大津留晶2),6)、前田正治2),7)、針金まゆみ2)、堀越直子1),2)、鈴木友理子8)、矢部博興2),9)、結城美智子2)、永井雅人1),2)、高橋秀人2)、中野裕紀1),2)
1)福島県立医科大学医学部疫学講座、2)福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、3)広島大学原爆放射線医科学研究所 分子発がん制御研究分野、4)長崎大学原爆後障害医療研究所、5)福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、6)福島県立医科大学医学部放射線健康管理学講座、7)福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、8)国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所、9)福島県立医科大学医学部神経精神医学講座

掲載誌 Journal of Epidemiology. 2017 Jan;27(1):14-23.
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