研究・論文
妊産婦に関する調査
Developing and improvement from depression at 4 years after childbirth: insights from the Fukushima Health Management Survey
出産後4年目におけるうつ病の発症と改善~福島県「県民健康調査」からの考察~
要約
本研究は、福島県「県民健康調査」(FHMS)に参加した女性を対象に、福島原発事故後の産後うつ病の傾向と要因を明らかにすることを目的としました。
2011年度から2018年度までのFHMSデータを用いて、出産後のうつ症状と放射線被ばくへの不安の割合を分析しました。また、出産後はうつ症状がなかったものの出産後4年でうつ症状を発症した女性と、出産後にうつ症状があったものの出産後4年でうつ症状が改善した女性の特徴を分析しました。
今回の調査では、出産後にうつ症状がみられた女性は23.1%でした。出産後4年でうつ症状を発症したことと有意に関連する要因は、母親の年齢が若いこと、健康でないこと、育児の自信がないこと、精神疾患の既往歴があること、放射線の影響を心配して再び妊娠するつもりがないことでした。出産後4年で出産後のうつ症状から改善したことは、非常に健康であること、育児に自信があること、既往歴がないこと、精神疾患の既往歴がないこと、十分な周産期ケアを受けたこと、再び妊娠する予定があることと関連していました。
この結果は、出産直後やその後のうつ予防のためにうつ病のリスクを包括的に評価する必要性と、産後うつ病に罹患した被災女性に対する継続的な専門的ケアの必要性を示唆しています。
書誌情報
タイトル | Developing and improvement from depression at 4 years after childbirth: insights from the Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
石井佳世子1, 2、後藤あや1, 3、小宮ひろみ4、安村誠司1、安田俊1, 5、太田操6、藤森敬也1, 5 |
掲載誌 | Sci Rep. 2025 Feb 12;15(1):5238. |
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