研究・論文
Effects of parity on the association between evacuation and psychological distress and cardiovascular disease among women after the Great East Japan Earthquake: A Cross-Sectional Study of the Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後の女性における出産歴が避難と精神的苦痛や循環器疾患との関連に及ぼす影響:福島県「県民健康調査」を用いた横断研究
要約
【目的】
東日本大震災とその後の東京電力第一原子力発電所の事故後、特に避難生活を送る地域住民において体や心に対する影響が大きいことが報告されています。本研究では、避難生活の経験と心理的苦痛、トラウマ反応、循環器疾患との関係に及ぼす女性の出産経験の違いによる影響を明らかとすることを目的としました。
【方法】
対象は、福島県の避難区域内13市町村に居住し、2012年度のこころの健康度・生活習慣に関する調査に回答した40~90歳の女性30,709人です。避難経験、心理的苦痛、トラウマ反応の有無と循環器疾患の関連について、循環器疾患リスク因子を調整して出産経験の有無別にロジスティック回帰分析を用いて解析しました。
【結果】
出産経験がある女性で避難経験がある場合、避難経験がない場合と比べて、心理的苦痛、トラウマ反応、循環器疾患の割合が高かったですが、出産経験のない女性ではいずれも関連は認められませんでした。
【結論】
東日本大震災後に女性において、避難経験と心理的苦痛、トラウマ反応、循環器疾患との関連は、特に出産経験のある女性において認められました。
書誌情報
タイトル | 東日本大震災後の女性における出産歴が避難と精神的苦痛や循環器疾患との関連に及ぼす影響:福島県「県民健康調査」を用いた横断研究 |
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著者 |
安川純代1、江口依里2, 3、大平哲也2, 4、林史和2, 4、坂井晃4, 5、島袋充生4, 6、藤森敬也4, 7、三浦至4, 8、 矢部博興4, 9、前田正治4, 10、安村誠司4 |
掲載誌 | 岡山医学会雑誌 136巻 (2024) 3号 |
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