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甲状腺検査

Detection of thyroid cancer among children and adolescents in Fukushima, Japan: a population-based cohort study of the Fukushima Health Management Survey

福島の小児および青少年における甲状腺がんの発見:福島県「県民健康調査」における地域集団コホート研究

要約

本研究は「コホート研究」であり、対象者は253,346人(データA)と、特にその中で外部被ばく線量のデータが欠損でない113,120人(データB)としました。
主要評価項目は、甲状腺がんまたは疑いの発見であり、外部被ばく線量1 [mSv]以上と1 [mSv]未満のそれぞれにおける発見率の比を発見率比としました。この発見率比について、性別、年齢、地区、過体重状態について(モデル1)、あるいはこれらに加えて、過去の病歴、甲状腺がんの家族歴、魚介類の摂取頻度、海藻類の摂取頻度(モデル2)を調整し(ほぼ比較可能となるように均し)、データAとデータBのそれぞれにおいて比較しました。データAの外部被ばく線量の欠損データは、被検者の居住地区における線量の中央値を推定値として用いました。
検査2回目と3回目で、合計97人の甲状腺がんまたはその疑いが発見され、発見率は100万人年あたり10.3人(95%信頼区間:8.5-12.6)となりました。甲状腺がん発見率比(および95%信頼区間)は、それぞれデータAのモデル1で1.6 (0.7-3.4)、 モデル2で1.6 (0.7-3.5)、データBのモデル1で1.7 (0.7-3.8)、モデル2で1.7 (0.7-3.8)であり、外部被ばく線量(1 mSv以上)の方がやや高いものの、有意となる大きな差には至りませんでした(測定等の誤差の範囲内にあり、差があるということではないという結果を得ました)。 本研究により、追跡期間平均3.7年現在、全体の99.9%以上が5 mSv未満である低線量放射線被ばくについて、甲状腺がん発見との間に(意味のある)関連はないことが示されております。
(本研究の意義)
本研究では、全対象者の99.9%以上が5 mSv未満という超低線量被ばくと、甲状腺がん発見について有意な関連性は認められませんでした(平均3.7年の追跡期間)。いくつかの制限はあるものの、私たちの知る限りでは、これは超低線量被ばくの影響について、コホートデザインを用いて結果を得た最初の研究です。

書誌情報

タイトル Detection of thyroid cancer among children and adolescents in Fukushima, Japan: a population-based cohort study of the Fukushima Health Management Survey
著者

高橋秀人1, 13、安村誠司2, 13、髙橋邦彦3, 13、大平哲也4, 13、志村浩己5, 13、大戸斉13、鈴木悟6, 13、鈴木眞一7, 8、石川徹夫9, 13、鈴木聡6, 13、馬恩博10, 4、長尾匡則4, 13、横谷進11, 13、神谷研二12, 13
1 帝京平成大学、2 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、3 東京医科歯科大学M&Dデータ科学センター生物統計学分野、4 福島県立医科大学医学部疫学講座、5 福島県立医科大学医学部臨床検査医学講座、6 福島県立医科大学ふくしま国際医療科学センター、7 独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)二本松病院 外科、8 福島県立医科大学医学部甲状腺内分泌学講座、9 福島県立医科大学医学部放射線物理化学講座、10 福島県立医科大学ふくしま国際医療科学センター健康増進センター、11 福島県立医科大学甲状腺・内分泌センター、12 放射線影響研究所、13 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター

掲載誌 eClinicalMedicine. 2024 Sep;75:102722.
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