研究・論文
Effects of Overweight on Risk of Thyroid Nodules in Children and Adolescents: The Fukushima Health Management Survey
小児および思春期における甲状腺結節に及ぼす過体重の影響:福島県「県民健康調査」
要約
過体重や肥満が成人において甲状腺結節のリスクになることが知られていますが、小児および思春期の甲状腺結節にどのような影響を及ぼすかは明らかではありません。本研究では、小児および思春期における過体重や肥満が約4年後の甲状腺結節と関連するかどうかを追跡調査によって性・年齢別に検討することを目的としました。福島第一原子力発電所事故後に開始された福島県「県民健康調査」において甲状腺超音波検査を受けた約300,000人を対象としました。最初の2回の検査(事故後1-3年および4-5年)で結節がみられなかった人(超音波検査において甲状腺結節がみられない、もしくは5.1mm未満の人)を対象に、3回目の検査(事故後6-7年)におけるベースラインの過体重に対する結節のリスクを平均4.2年間の追跡調査によって評価しました。3回の検査を全て受けた184,519人が最終的に解析対象となりました。追跡期間中に660人の参加者に新たな甲状腺結節(超音波検査において5.1mm以上の結節)が確認されました。過体重は約4年後の甲状腺結節と正の相関があり、過体重がない人と比べた過体重がある人の甲状腺結節の多変量調整(性、年齢、海藻および魚介類の摂取、住居地域を調整)オッズ比(95%信頼区間)は1.27(1.04-1.57)でした。また、男性と女性における過体重の多変量調整オッズ比(95%信頼区間)はそれぞれ1.21(0.87-1.67)および1.32(1.01-1.73)であり、年齢群別(0~9歳、10~14歳、15~19歳)の多変量調整オッズ比はそれぞれ1.17(0.79-1.74)、1.19(0.91-1.56)、および1.75(1.00-3.06)でした。以上より過体重であることは、住居が福島第一原子力発電所に近接しているかどうかにかかわらず、特に女性および思春期において約4年後の甲状腺結節と関連することが明らかになりました。東日本大震災後の福島県では小児においても過体重や肥満の増加が報告されていることから、引き続き中長期に亘って過体重や肥満と甲状腺結節および甲状腺がんとの関連を確認する必要性が考えられます。
書誌情報
タイトル | Effects of Overweight on Risk of Thyroid Nodules in Children and Adolescents: The Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
大平哲也1, 2, *、長尾匡則1, 2, *、林史和1, 2、志村浩己1, 3、鈴木悟1、安村誠司1, 4、高橋秀人1, 5、鈴木聡1, 6、岩舘学6、細矢光亮1, 7、坂井晃1, 8、石川徹夫1, 9、古屋文彦1, 6、鈴木眞一10、横谷進1、大戸斉1、神谷研二1, 11 |
掲載誌 | J Clin Endocrinol Metab. 2025 Jan 21;110(2):e478-e486. |
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