研究・論文

  • ホーム
  • 研究・論文
  • Relationship between the Residual Cesium Body Contents and Individual Behaviors among Evacuees from Municipalities near the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant
基本調査

Relationship between the Residual Cesium Body Contents and Individual Behaviors among Evacuees from Municipalities near the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant

福島第一原発近くの市町村からの避難者における体内残留セシウム量と避難行動との関係

要約

以前に私たちのグループでは、震災時に浪江町の居住者で比較的早い時期にホールボディカウンタ検査(体内のセシウム残留量測定)を受検した方を対象として、個々人の体内残留セシウム量と事故直後の避難行動(基本調査で得られた行動記録)との関係を分析しました。今回は、対象地域を近隣の4つの町(浪江町、双葉町、大熊町、富岡町)に拡大して分析を行いました。対象者数(成人)は1,145名となりました。まず前回と同様に、福島第一原発1号機の水素爆発が起こった3月12日15時の時点で原発から25 km圏外にいたか(避難が早かった集団、以下G1と呼ぶ)、25 km圏内にいたか(避難が遅かった集団、以下G2と呼ぶ)で対象者を分けて解析しました。2つのグループは、3月16日午前0時の居場所に応じて、さらに7つのサブグループに分けられました。
今回の主な分析結果は以下のとおりです。まず、浪江町と双葉町ではセシウム137検出率がG1グループと比べてG2グループで大きく、統計学的に意味のある差が見られましたが、大熊町と富岡町では差がありませんでした。大熊町、富岡町は原発の南方向に位置しています。したがってこの結果は、3月12日午後に北西から北に向かって流れたプルームの影響を示唆しており、以前の分析を裏付けました。 第二に、G1、G2各グループの内部被ばく実効線量の上位パーセンタイル値を比べると、4 つの町すべてでG2グループのほうが高い結果となりました。実効線量が最も高かったのは双葉町のG2グループ、実効線量が最も低かったのは浪江町のG1グループで、90パーセンタイル値でそれぞれ0.16 mSvと0.04 mSvでした。第三に、G1グループの中で福島県外に避難したサブグループの実効線量は非常に低く、これらサブグループの集団は3月12日と15日の両方でほとんど被ばくしなかったことを示唆しています。第四に、浪江町の対象者の分析により、福島県の中北部を含む地域は、3月15日の原発からの大規模な放射性物質放出による影響が比較的大きいことが示されました。結論として、事故後初期の吸入摂取の痕跡は、初期のホールボディカウンタ測定値に部分的に残っていることが示唆されました。

書誌情報

タイトル Relationship between the Residual Cesium Body Contents and Individual Behaviors among Evacuees from Municipalities near the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant
著者

金ウンジュ1、橋本昇三1、谷幸太郎1、内藤雅之1、高島良生1、石川徹夫2、安村誠司2、神谷研二2, 3、栗原治1
1 量子科学技術研究開発機構、2 福島県立医科大学、3 広島大学 原爆放射線医科学研究所

掲載誌 Health Phys. 2024 Mar 1;126(3):141-150.
関連リンク