研究・論文
Association between Dietary Diversity and Sociopsychological Factors and the Onset of Dyslipidemia after the Great East Japan Earthquake: Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後の食事多様性および社会心理的要因と脂質異常症の発生との関連:福島県「県民健康調査」
要約
本研究の目的は、東日本大震災後の福島県避難区域における低密度リポ蛋白高コレステロール血症(高LDL血症)、高密度リポ蛋白低コレステロール血症(低HDL血症)、高トリグリセリド血症(高TG血症)の発生と生活習慣および社会心理的要因の関係を明らかにすることでした。
震災当時に避難区域等に住民登録があり、2011年度に健康診査を受診、かつこころの健康度・生活習慣に関する調査に回答し、それぞれの疾患の有無を2017年度まで追跡できた2011年度時点での非高LDL血症11,274名、非低HDL血症16,581名、非高TG血症12,653名を対象としました。
結果として、避難経験は、高LDL血症、低HDL血症、高TG血症の発生と正の関連を示しました。逆に、中高程度の食事多様性スコアは、高TG血症の発生と負の関連を示しました。さらに、睡眠満足度の低さは、低HDL血症および高TG血症の発生と正の関連を示しました。運動習慣がほとんどないことは、低HDL血症の発生と正の関連を示しました。現在の喫煙や原子力発電所の爆発音の聴取の経験は、高TG血症のリスクの発生と正の関連を示しました。飲酒習慣は、高LDL血症、低HDL血症、高TG血症の発生と負の関連を示しました。
本研究の結果は、災害による避難者の脂質異常症の発生を予防するために、生活習慣の継続的な改善の実施と共に、災害による影響を払しょくするための取り組みを行う必要性を示しました。
書誌情報
タイトル | Association between Dietary Diversity and Sociopsychological Factors and the Onset of Dyslipidemia after the Great East Japan Earthquake: Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
林史和1, 2、⼤平哲也1, 2、佐藤志帆1, 2、中野裕紀1, 2、岡崎可奈子1, 2, 3、長尾匡則1, 2、島袋充生1, 4、坂井晃1, 5、風間順一郎1, 6、細矢光亮1, 7、高橋敦史1, 8、前田正治1, 9、矢部博興1, 10、安村誠司1, 11、大戸⻫1、神谷研二1, 12 |
掲載誌 | Int J Environ Res Public Health. 2022 Nov 8;19(22):14636. |
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