研究・論文
Psychological burden predicts new-onset diabetes in men: A longitudinal observational study in the Fukushima Health Management Survey after the Great East Japan earthquake
心理的負担は男性の糖尿病新規発症を予測する:東日本大震災後の福島県「県民健康調査」における長期観察研究
要約
【目的】東日本大震災後、精神的健康障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD:Post Traumatic Stress Disorder)が増加しました。災害後の精神的健康障害やPTSDは、糖尿病発症を増加させるとされますが、東日本大震災後の状況は不明です。
【方法】精神的健康障害やPTSDの糖尿病新規発症への影響を2011年東日本大震災後7年間の前向き観察研究で評価しました。精神的健康障害ありはK6(Kessler 6 scale)≧13、PTSD疑いはPCL-S(PTSD Checklist-Stressor-Specific Version)≧44で判定しました。
【結果】福島県「県民健康調査」に参加された方で糖尿病のない19,590名(男性:7,771名、女性:11,819名)を解析対象としました。7年間で糖尿病新規発症は、男女合わせて19.6/千人年 、男性27.5/千人年、女性14.7/千人年でありました。男性では既存の糖尿病リスク因子(年齢、肥満、高血圧、脂質異常症、喫煙、飲酒など)と災害関連因子(避難、睡眠など)を調整した後もK6≧13(Cox比例ハザードモデルによるハザード比:1.23、95%信頼区間:1.00-1.52)およびPCL-S≧44(ハザード比:1.20、95%信頼区間:1.01-1.53)は、糖尿病新規発症の有意な因子でした。一方、女性でこれらは有意な因子ではありませんでした。
【総括】東日本大震災後の精神的健康障害やPTSDの心理的負担は男性において糖尿病の新規発症に関連し、女性では関連しませんでした。心理的負担の糖尿病発症への影響に性差がある可能性が示唆されました。
書誌情報
タイトル | Psychological burden predicts new-onset diabetes in men: A longitudinal observational study in the Fukushima Health Management Survey after the Great East Japan earthquake |
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著者 |
平井 裕之1, 2, ⻑尾 匡則3, 4, 大平 哲也3, 4, 前田 正治3, 5, 岡崎 可奈子3, 4, 6, 中野 裕紀3, 4, 林 史和3, 4, 針⾦ まゆみ3, 7, 鈴⽊ 友理⼦8, ⾼橋 敦史3, 9, 坂井 晃3, 10, 風間 順一郎3, 11, 細⽮ 光亮3, 12, ⽮部 博興3, 13, 安村 誠司3, 7, ⼤⼾ ⻫3, 神⾕ 研⼆3, 島袋 充生1, 3 |
掲載誌 | Front Endocrinol (Lausanne). 2022 Dec 2;13:1008109. |
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