研究・論文
Impact of lifestyle and psychosocial factors on the onset of hypertension after the Great East Japan earthquake: a 7-year follow-up of the Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後の高血圧発症への生活習慣および心理社会的因子の影響:震災後7年間の福島県県民健康調査
要約
【背景と目的】
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、さらに東京電力福島第一原子力発電所事故が発生しました。その結果、多くの避難者の生活が大きく変化しました。本研究では、福島県県⺠健康調査をもとに、震災後7年間という長期の観察期間内で、生活習慣や社会心理的要因のどのような因子が震災後の高血圧新規発症に関連しているかを調査しました。
【方法と結果】
2011年度に県⺠健康調査の「健康診査」と「こころの健康度・生活習慣に関する調査」を両方とも受診した13市町村の住⺠を対象として2011~2018年までの震災後7年間の長期間にわたって追跡し、最終的に10,861人の方について高血圧の新規発症と、生活習慣や社会心理的要因、避難などの災害関連要因との関連を推定しました。様々な要素を調整した後、飲酒と肥満が震災後の高血圧の新規発症に有意に関連していることが判明しました(飲酒;調整済みハザード比1.38、95%信頼区間 1.21-1.57、p < 0.001)(肥満;調整済みハザード比1.27、95%信頼区間 1.19-1.37、p < 0.001)。また男性においては、避難経験が高血圧新規発症に有意に関連していることが判明しました(調整済みハザード比1.14、95%信頼区間1.02-1.27、p = 0.016)。
【結論】
震災後の7年間という長期間における観察で、飲酒や肥満などの生活習慣は、高血圧の新規発症と有意に関連していることが分かりました。男性においては避難経験も、高血圧の新規発症に有意に関連していることが分かりました。
書誌情報
タイトル | Impact of lifestyle and psychosocial factors on the onset of hypertension after the Great East Japan earthquake: a 7-year follow-up of the Fukushima Health Management Survey |
---|---|
著者 |
小針英理1、田中健一1, 2、長尾匡則3, 4、岡崎可奈子3, 4、林史和3, 4、風間咲美3, 2、大平哲也3, 4、安村誠司5、島袋充生3, 2, 6、前田正治3, 7、坂井晃3, 8、矢部博興3, 9、細矢光亮3, 10、高橋敦史3, 11、針金まゆみ3, 5、大戸斉3、神谷研二3, 12、風間順一郎1, 3, 2 |
掲載誌 | Hypertens Res. 2022 Oct;45(10):1609-1621. |
関連リンク |