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健康診査

The Associations between Evacuation Status and Lifestyle-Related Diseases in Fukushima after the Great East Japan Earthquake: The Fukushima Health Management Survey

東日本大震災後の福島県住民の避難状況の変化と生活習慣病との関連:福島県「県民健康調査」

要約

【背景】本研究は東日本大震災後の福島県民の避難状況と生活習慣病リスクとの関連について検討することを目的とした。
【方法】2011年度~2012年度の健康診査を受診した20歳以上の男女89,571人を対象者とし、帰還者群、避難継続群(避難解除区域)、避難継続群(帰還困難区域)、非避難群の4群に分けて、避難状態と高血糖症、高血圧症及び高脂血症の発症リスクとの関連をロジスティックモデルで多変量調整のオッズ比を算出した。ベースライン時糖尿病、高血圧症及び高脂血症の既往歴がある者を除外し、2017年末まで追跡した。また、2017年のデータを利用して、空間的自己相関分析では疾患の空間的依存性を検定し、ホットスポット分析により空間集積性(地理的に疾患が集中しているかどうか)を検定及び視覚化した。
【結果】非避難群に比べて、避難継続群(帰還困難区域)では糖尿病、高血圧症及び高脂血症の発症リスクが有意に高かった。多変量調整した避難継続群(帰還困難区域)の非避難群に比べたオッズ比(危険度)は、糖尿病で1.35倍 (95% 信頼区間: 1.22–1.51)であり、高血圧症で1.14 倍(1.05–1.24)であり、高脂血症で1.22倍 (1.13–1.32)であった。帰還者群及び避難継続群(避難解除区域)では、糖尿病、高血圧症及び高脂血症の発症に関して非避難群との差はみられなかった。空間集積性の検定結果、福島県の上記疾患の有病率が福島市及び郡山市とその周囲区域に高い傾向を示した。
【結論】本研究により、帰還困難区域住民の継続的な予防対策が重要であることが示唆された。

書誌情報

タイトル The Associations between Evacuation Status and Lifestyle-Related Diseases in Fukushima after the Great East Japan Earthquake: The Fukushima Health Management Survey
著者

孫智超1, 2、今野弘規1, 3、江口依里4、林史和4, 5、大平哲也4, 5、崔仁哲6、安村誠司5, 7、坂井晃5, 8、島袋充生5, 9、大戸斉5、神谷研二5, 10、磯博康1, 11
1 大阪大学大学院医学系研究科社会医学講座公衆衛生学教室、2 八尾市健康福祉部健康まちづくり科学センター、3 近畿大学医学系研究科公衆衛生学教室、4 福島県立医科大学医学部疫学講座、5 福島県立医科大学放射線医学県民健康管理センター、6 岡波総合病院内科、7 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、8 福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座、9 福島県立医科大学医学部糖尿病内分泌代謝内科学講座、10 広島⼤学原爆放射線医科学研究所、11 国立国際医療研究センターグローバルヘルス政策研究センター

掲載誌 Int J Environ Res Public Health. 2022 May 6;19(9):5661.
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