研究・論文
Postpartum Mental Health of Mothers in Fukushima: Insights From the Fukushima Health Management Survey's 8-year Trends
福島県の母親の産後メンタルヘルス:福島県「県民健康調査」8年間の傾向からの考察
要約
「妊産婦に関する調査」は福島第一原発事故後の母子の心身の健康状態を把握し、必要なケアを提供することを目的とし、2011年度から毎年、妊産婦を対象とした質問紙調査を実施しています。「妊産婦に関する調査」 は、約15,000人を対象にした郵送による調査で、回答率は毎年約50.0%です。震災直後に実施した調査では、特に母親のうつ傾向の割合が高かったため、産後4年目にフォローアップ調査を行いました。
2011年度から2018年度までの8年間の調査結果から、母親のうつ傾向の割合は震災直後で最も高く、時間の経過とともに減少していることがわかりました。
次に、4年間のフォローアップ調査(産後4年目)の結果では、うつ傾向の割合は4年前の出産直後の割合より低く、その後、時間の経過とともに減少していることがわかりました。また、フォローアップ調査(産後4年目)において、2011年度に出産した母親は2014年度に出産した母親よりも放射線不安のある母親の割合が高く、特に震災直後に出産した母親において、原発事故の影響が長期化している傾向が示されました。
電話で育児相談を受けた母親の特徴としては、初産、帝王切開、避難区域に住んでいる、予定通り検診を受けられない、放射線不安があるなどが挙げられました。このことから、原発事故直後に出産した母親には、周産期医療や子育て支援、放射線に関する情報提供、長期的な健康状態の把握など、継続的なケアを行う必要があります。
書誌情報
タイトル | Postpartum Mental Health of Mothers in Fukushima: Insights From the Fukushima Health Management Survey's 8-year Trends |
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著者 |
石井佳世子1, 2、後藤あや1, 3、小宮ひろみ4、大平哲也1, 5、藤森敬也1, 6 |
掲載誌 | J Epidemiol. 2022;32(Suppl_XII):S64-S75. |
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