研究・論文
Association between Laughter and Lifestyle Diseases after the Great East Japan Earthquake: The Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後の笑いの頻度と生活習慣病との関連:福島県県民健康調査
要約
【背景】近年、笑いの頻度が高いほど生活習慣病を有しにくいことが報告されてきています。大規模災害後に笑いが生活習慣病に与える影響についてはあまり分かっておらず、本研究にて検討しました。
【方法】対象は東日本大震災時に福島第一原子力発電所の避難地域等に居住しており、こころの健康度・生活習慣に関する調査に回答した30-89歳の日本人男女で、そのうち2012-2013年度に笑いの頻度、及び2013年度に生活習慣病の有無に関する必要な情報を得られた41,432人としました。笑いの頻度は「普段の生活で声を出して笑う機会はどのくらいありますか」の問いについて「ほぼ毎日」と回答した群を笑う群、それ以外の「週に1~5回程度」以下をあまり笑わない群に分類しました。ロジスティック回帰分析を用いて、あまり笑わない群に対する笑う群の2013年度の高血圧、糖尿病、脂質異常、がん、脳卒中、心臓病の有無について男女別、避難経験の有無別に調べました。その際、年齢、肥満度(body mass index)、喫煙習慣、飲酒習慣、運動習慣、睡眠の質、精神的苦痛、仕事の有無、人とのつながりについて調整しました。
【結果】避難を経験した人は毎日笑う人の割合が低くなっていました。毎日笑う人は、笑わない人に比べて、東日本大震災後の高血圧、糖尿病、心臓病の割合が男性で低く、高血圧、脂質異常の割合が女性で低かったです。この関連は、特に男性の避難者にて強くなっていました。
【結論】震災後特に避難者において、日常的に笑っている人は生活習慣病を有している割合が低いことが明らかになりました。災害後の笑いが疾病予防に良い影響を与える可能性があります。今後、縦断や介入研究にて詳細に検討する必要があります。
書誌情報
タイトル | Association between Laughter and Lifestyle Diseases after the Great East Japan Earthquake: The Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
江口依里1、⼤平哲也1,2、中野裕紀1,2、林史和1,2、岡崎可奈子2,3、針⾦まゆみ2,4、舟久保徳美1、高橋敦史2,5、高瀬佳苗2,6、前田正治2,7、安村誠司2,4、矢部博興2,8、神谷研二2,9、福島県県⺠健康調査グループ |
掲載誌 | Int J Environ Res Public Health. 2021 Dec 2;18(23):12699. |
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