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Radiation risk perception after the Fukushima disaster

福島災害後の放射線リスク認知

要約

原子力災害後の放射線リスク認知は、しばしば様々な学問分野にわたって調査されています。本論文では、まず、福島第一原子力発電所事故後に主に使用された放射線リスク認知に関する質問票や尺度として、恐ろしさや未知リスク認知、遅れて生じる健康影響や遺伝性の影響に関するリスク認知、健康不安や差別・偏見への不安を紹介します。また、地域別の結果や、時間の経過とともに放射線リスク認知がどのように変化したかの調査例から、福島県では、福島第一原子力発電所の近くに住む人が、生活環境に対する放射線リスクを高く認知していること、自主的または非自発的な避難を経験した人は、より高い放射線リスク認知を持つこと、避難していない福島県民は、他の都道府県の住民に比べて、食品の放射線リスク認知が低いことなどを紹介します。さらに、システマティックレビューに基づき、放射線リスク認知の要因や影響についてまとめ、放射線リスク認知が、人口動態や経験など様々な要因と関連し、心理的苦痛、放射線関連事項の回避、個人のライフイベントや人格形成に潜在的に影響を与えることに言及します。最後に、原子力災害後の放射線リスク認知に関する研究の意義・意味を総合的に考察し、放射線リスク認知への取り組み、放射線リスク認知が関連するようなアウトカムそのものへの取り組み、放射線リスク認知とアウトカムの関連への取り組みの重要性を示します。

書誌情報

タイトル Radiation risk perception after the Fukushima disaster
著者

村上道夫1, 4、折田真紀子2、関谷直也3
1 福島県立医科大学、2 長崎大学、3 東京大学、4 大阪大学(現所属)

掲載誌 Health Effects of the Fukushima Nuclear Disaster 2022, Pages 247-263
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