研究・論文
Vulnerability of Evacuees Having No One to Consult after the Fukushima Nuclear Disaster: The Fukushima Health Management Survey
相談先のない避難住民の特徴および関連要因について:福島県「県民健康調査」
要約
2011年3月の東日本大震災に伴う原子力発電所の事故により、福島県の避難者は⻑期にわたる広域避難を余儀なくされました。多くの支援機関がさまざまな施策を実施しましたが、震災から時間が経っても相談先がない人が存在します。社会的なつながりはメンタルヘルスに不可欠であり、限られた社会的関係は、孤立や、自殺行為などのより深刻な結果につながる可能性があります。本研究では、相談先がない人の特徴とその要因を明らかにし、その対策を提案しました。
2016 年度調査の 16 歳以上 32,699 人を対象に分析し、相談先がない人は、3,650人(11.2%)でした。また、心理的苦痛(16.2%、p<0.001)と問題飲酒(21.5%、p<0.001)の有病率が有意に高いことがわかりました。
多変量解析の結果、相談先がないことは、中年層(40〜64 歳)(オッズ比[OR]:1.30、95%信頼区間[CI]:1.16〜1.46)、男性(OR=2.46、95%CI、2.27〜2.66)、経済状況の悪さ(OR=2.11、95%CI、1.96〜2.27)、一人暮らし(OR=1.53、95%CI、1.39〜1.68)と関連していました。
避難によって精神的に不安定になることはよくある反応かもしれませんが,問題が生じたときに躊躇なく助けを求めることができるような方策、例えば、社会全体で気軽に相談できるように、学校や職場での相談機能を充実させるなど、災害が起きる前から人とのつながりを作っておくことは重要であると考えます。避難者の方に「誰か相談できる人はいますか」と聞くことは簡単です。地域の支援機関は相談先がない避難者の脆弱性を理解し、早期に支援を行う必要があると考えます。
書誌情報
タイトル | Vulnerability of Evacuees Having No One to Consult after the Fukushima Nuclear Disaster: The Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
堀越直子 1,2、前田正治 1,3、針金まゆみ 1,2、岩佐一 1,2、村上道夫 1,4、桃井真帆 1,3、後藤紗織 1,3、安村誠司 1,2
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掲載誌 | Int. J. Environ. Res. Public Health 2021, 18(19), 10075 |
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