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こころの健康度・生活習慣に関する調査

Factors hindering social participation among older residents from evacuation zones after the nuclear power plant accident in fukushima: The fukushima health management survey.

福島原発事故後の避難地域における高齢者の社会参加を妨げる要因:福島県県民健康調査

要約

【背景】
社会参加は高齢期をよりよく生きるために重要といわれています。しかしながら、原子力発電所事故によって自宅からの避難を余儀なくされた住⺠は、それまで慣れ親しんだ地域から離れ、新たな不慣れな地域で生活することになります。本報告では、東日本大震災に伴う原子力発電所事故後の高齢者における社会参加と社会参加を阻害する要因について検討することを目的としました。

【方法】
福島県「県⺠健康調査」の詳細調査「こころの健康度・生活習慣に関する調査」の一部を使用して分析しました。この調査は、国により避難指示区域とされた市町村に居住していた方を対象として、2011年度以降、毎年実施している調査です。本報告では、このうち、2011年度の65歳以上の回答者19,573人を分析対象としました。多項ロジスティック回帰分析を行い、社会参加に関連する要因を調べました。

【結果】
合計で53.0%の高齢避難者がレクリエーション活動や共同体のサービスに参加していませんでした。調査時点の居住地と日常生活における自立度について分析した結果、福島県外に住んでいること、日常生活において買い物等に支援が必要であることが、社会参加していないことと関連していました。

【結論】
本報告では、震災後1年以内の時点で、避難している高齢者の大半が社会活動に参加していないことを明らかにしました。そして、高齢者がどこに避難しているか、自立して生活できるかどうかと、社会参加との関連が示されました。原子力発電所事故後の避難者のように、環境の大きな変化によって孤立する可能性の高い高齢者には社会参加を積極的に促す必要があることが示唆されました。さらに、健康状態の悪さ、睡眠の質の悪さ、運動不足などが社会参加を妨げていました。地域において支援者が、避難後にこのような特徴を持つ高齢者を見つけた場合、社会参加しているかどうかを評価し、場合によっては社会参加を促す必要があると考えられます。

書誌情報

タイトル Factors hindering social participation among older residents from evacuation zones after the nuclear power plant accident in fukushima: The fukushima health management survey.
著者

針金まゆみ 1,2、藺牟田洋美 3、安村誠司 1,2、林史和 1,4、中野裕紀 1,4、大平哲也 1,4、前田正治 1,5、矢部博興 6、鈴木友理子 2,7、神谷研二 1,8、福島県県⺠健康調査グループ
1 福島県立医科大学放射線医学県⺠健康管理センター、2 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、3 東京都立大学健康福祉学部、4 福島県立医科大学医学部疫学講座、5 福島県立医科大学医学部災害こころの医学講座、6 福島県立医科大学医学部神経精神医学講座、7 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神医療政策研究部、8 広島大学 原爆放射線医科学研究所

掲載誌 Int J Environ Res Public Health. 2021 Apr 21;18(9):4426.
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