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健康診査

Association between lifestyle habits and the prevalence of abdominal obesity after the Great East Japan Earthquake: The Fukushima Health Management Survey.

東日本大震災後における生活習慣と腹部肥満の関連:福島県県民健康調査

要約

東日本大震災後、福島県の避難区域住⺠において肥満者の割合が増加したことが報告されています。しかし、腹部肥満の人の割合の変化については報告されていませんでした。また、震災後の生活習慣の変化が腹部肥満の割合の変化に影響を及ぼした可能性がありますが、これらの関連は明らかになっていませんでした。
本研究は、避難区域 13 市町村の地域住⺠の方のうち、2008 年から 2010 年の間に特定健診を受診され、かつ、2011 年から 2013 年の間にも健診(県⺠健康調査「健康診査」)を受診された 19,673 人を対象としました。私たちははじめに、震災前後の腹部肥満者の割合の変化を比較し、次に、腹部肥満者の割合の変化に影響を与える生活習慣を評価しました。
震災前の腹部肥満者の割合は 34.2%で震災後は 36.6%に増加しました(P <0.001)。避難者と非避難者で層別化して解析したところ、避難者においては、震災前後で 37.0%から 42.1%に増加し(P <0.001)、非避難者においては、震災前後で 32.8%から 34.0%に増加しました(P <0.001)。また、腹部肥満は、震災後の禁煙、夕食後の間食及び朝食欠食の改善ならびに震災前後継続している飲酒習慣と正の関連が認められました(全てP <0.05)。
さらに、禁煙については、避難者と非避難者の両方で腹部肥満と正の関連が認められました(全てP <0.01)。以上の結果から、東日本大震災後、福島県の避難区域住⺠において、腹部肥満の人の割合が増加していることが明らかになりました。そしてこの増加は、震災前の生活習慣だけでなく、震災後の生活習慣の変化、特に禁煙に関連している可能性が示唆されました。腹部肥満を予防し、腹部肥満の人の割合を減らすために、より的を絞った詳細な研究が必要と考えられます。

書誌情報

タイトル Association between lifestyle habits and the prevalence of abdominal obesity after the Great East Japan Earthquake: The Fukushima Health Management Survey.
著者

上村真由 1,2,3、大平哲也 1,2、安村誠司 1,4、坂井 晃 1,5、高橋敦史 1,6、細矢光亮 1,7、⻑尾匡則 1,2、中野裕紀 1,2、大戸 ⻫1、神谷研二1,8
1 福島県立医科大学放射線医学県⺠健康管理センター、2 福島県立医科大学医学部疫学講座、3 名古屋大学大学院医学系研究科国際保健医療学・公衆衛生学、4 福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座、5 福島県立医科大学医学部放射線生命科学講座、6 福島県立医科大学医学部消化器内科学講座、7 福島県立医科大学医学部小児科学講座、8 広島大学原爆放射線医科学研究所

掲載誌 Journal of Epidemiology. 2021 Apr 3.
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