研究・論文
Association between atrial fibrillation and white blood cell count after the Great East Japan Earthquake : An observational study from the Fukushima Health Management Survey
東日本大震災後の心房細動と白血球数との関連:福島県県民健康調査による観察研究
要約
福島県県⺠健康調査では、東⽇本⼤震災後、福島県の避難区域の住⺠に⼼房細動の有病率が増加したことを、これまでに報告しました。本調査では、震災後の⼼房細動の有病率と⽩⾎球数との関連性を、観察的横断研究によって調べました。対象者は、福島県県⺠健康調査において健康診査を受診した14,800⼈(男性6,427⼈、⼥性8,373⼈)です。本調査では、12誘導⼼電図による⼼房細動の有無と⾎液検査における⽩⾎球数と⽩⾎球分画のデータとの関連を分析しました。ロジスティック回帰モデルを⽤いて、年齢やその他の潜在的な交絡因⼦を調整した後、震災後の⼼房細動のオッズ⽐と、⽩⾎球数の1標準偏差の変量に対する95%信頼区間を算出しました。その結果、震災後の避難区域住⺠の⼼房細動の有病率は1.8%(269 ⼈)でした。多変量調整モデルでは、単球数および好中球/リンパ球⽐が⼼房細動の有病率と有意な関連を⽰しました。⼼房細動を有することに対する単球数と好中球/リンパ球⽐の調整後オッズ⽐は、それぞれ1.21(95% 信頼区間, 1.05-1.40, p = 0.01)と 1.22(95% 信頼区間, 1.01-1.44, p < 0.05)でした。以上より、福島県の避難区域の住⺠における⼼房細動の有病率は、単球数および好中球/リンパ球⽐の増加と関連しており、震災後の⼼房細動の発症を媒介する重要な要因として、炎症と⼼理的ストレスが考えられました。
書誌情報
タイトル | Association between atrial fibrillation and white blood cell count after the Great East Japan Earthquake : An observational study from the Fukushima Health Management Survey |
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著者 |
鈴⽊均 1,2、⼤平哲也 1,3、⽵⽯恭知 2、坂井晃 1,4、細⽮光亮 1,5、安村誠司 1,6、川崎幸彦 1,5、⾼橋敦史 1,7、 中野裕紀 1,3、神⾕研⼆ 1,8、福島県県⺠健康調査グループ |
掲載誌 | Medicine (Baltimore). 2021;100(6):e24177. |
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