研究・論文
Analysis of direction of association between radiation risk perception and relocation using a random-intercept and cross lagged panel model: The Fukushima Health Management Survey.
ランダム切片および交差遅延パネルモデルを用いた放射線リスク認知と転居の関連の方向性の分析:福島県県民健康調査
要約
原子力発電所事故後において、放射線リスク認知(放射線のリスクのとらえ方)は社会心理的健康に影響をもたらす可能性があります。放射線リスク認知と転居との間には関連性があるとの報告がありますが、その方向性は明らかにされていません。そこで、本研究では、ランダム切片および交差遅延パネルモデルを用いて、放射線リスク認知と県内外に関する転居(福島県内から県外、あるいは、県外から県内への転居)との関連とその方向性を調査しました。
本研究では、2011年度から2015年度までの5回の縦断調査データを用いました。2011年に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故後に避難指示を受けた13市町村の住⺠(震災時の年齢が15歳以上)を対象としました。総対象者数は 90,567 人でした。ランダム切片および交差遅延パネルモデルを用いて、放射線リスク認知と転居に関する相互関係を調べた他、感度解析として、放射線リスク認知に関する2つの指標(遺伝影響と晩発影響に関するリスクのとらえ方)と2つの欠損データの取り扱い方法(リストワイズ削除法と完全情報最尤推定法)を用いました。
放射線リスク認知が転居に及ぼす影響は無視できるほど小さいことが分かりました。一方、指標や方法の違いにかかわらず、福島県内に住んでいると、放射線リスク認知が低下することが明らかになりました。本研究は、原子力災害後の放射線リスク認知と転居の関連の方向性を明らかにした初めての研究です。
書誌情報
タイトル | Analysis of direction of association between radiation risk perception and relocation using a random-intercept and cross lagged panel model: The Fukushima Health Management Survey. |
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著者 |
村上道夫 1,2、竹林由武 1,2、針金まゆみ 1,3、水木理恵 1、鈴木友理子 4、大平哲也 1,5、前田正治 1,6、安村誠司 1,3
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掲載誌 | SSM Popul Health. 2020 Dec 3;12:100706. |
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