研究・論文
Dietary pattern changes in Fukushima residents after the Great East Japan Earthquake : the Fukushima Health Management Survey 2011-2013
東日本大震災後の福島県民の食事パターンの変化:福島県「県民健康調査」2011-2013
要約
食事パターンは単一の食品グループや栄養素ではなく、複数の食品グループを評価する方法であるため、実際の食行動を表しているものと考えます。本研究では、福島県民の食事パターンの変化を特定し、評価することを目的としました。
東日本大震災が発生した後の2011年から2013年にかけて行われた福島県「県民健康調査」で、食品摂取頻度アンケート(FFQ)により食事パターンのデータを収集しました。このアンケートは、16歳以上の参加者より回答を得て(2011年は67,358人、2012年は48,377人、2013年は40,742人)、年齢及び性別の食事パターンを主成分分析により評価しました。
その結果、食事摂取パターンは3つの食事パターン(野菜、大豆摂取が多い典型的パターン(以下典型的パターン)、ジュース類摂取が多いパターン(以下ジュースパターン)、肉類摂取が多いパターン(以下肉パターン))に分類され、これは2011年から2013年の調査で同様の結果が得られました。参加者全体のスピアマンの相関係数(1に近いほど関連が強いことを示します)は、典型的パターンで0.70-0.74、ジュースパターンで0.58-0.66、肉パターンで0.50-0.54でした。避難者は、非避難者と比較してジュースパターンスコアと肉パターンスコアが高く、典型的パターンスコアが低くみられました。また、避難者の典型的パターンスコアの平均と非避難者のジュースパターンスコアの平均は、年を追うごとに減少し続けました。
以上より、避難区域住民において、2011年から2013年の間に食事パターンの変化を検討した結果、避難者は非避難者に比べて食事パターンが異なり、より健康的と考えられる典型的パターンスコアが低くみられました。また、食事パターンの違いは経年的に続くことが明らかになりました。避難者への注意深い調査並びに非避難者のうち典型的パターンの食品摂取量が少ない人への注意深い調査を実施することが必要であり、これに該当する人々への典型的パターンの食品(野菜、大豆類等)の摂取勧奨が必要と考えられます。
書誌情報
タイトル | Dietary pattern changes in Fukushima residents after the Great East Japan Earthquake : the Fukushima Health Management Survey 2011-2013 |
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著者 |
馬恩博1),2),3)、大平哲也1),2),3)、中野裕紀2),3)、前田正治3),4)、矢部博興3),5)、坂井晃3),6)、安村誠司3),7)、神谷研二3) |
掲載誌 | Public Health Nutr. 2020 May 15:1-10. |
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