研究・論文
Relationship between the prevalence of polycythemia and factors observed in the Mental Health and Lifestyle Survey after the Great East Japan Earthquake
東日本大震災後の心理社会的因子と多血症との関連
要約
私たちはこれまで東日本大震災後(GEJE)、 政府の指定した避難地区の住民を対象に健康診査を実施し、避難生活が生活習慣病や多血症発症の危険因子となることを報告してきました。多血症の原因として、未曾有の災害の経験と避難生活によるストレス多血症(いわゆる相対的多血症)が疑われます。しかしながら、GEJEによるトラウマ症状(PCL-S)やうつ状態(K6)との関係、居住環境や就労状況などの社会経済的な要因との関係は不明です。そこで、私たちは多血症とthe Mental Health and Lifestyle Survey(こころの健康度・生活習慣に関する調査) の項目との関係を解析しました。
その結果、多血症とPCL-S やK6の心的状態との関連は認められませんでした。一方で多変量解析の結果から、多血症は、男性に多い傾向が認められ、65歳以上の高齢、高学歴、肥満、高血圧症、糖尿病、肝機能障害、喫煙との間に有意な関係が認められました。以上のことから、震災後の多血症の発症は主に生活習慣病の発症に付随する所見と考えられます。
書誌情報
タイトル | Relationship between the prevalence of polycythemia and factors observed in the Mental Health and Lifestyle Survey after the Great East Japan Earthquake |
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著者 |
坂井晃1),2)、中野裕紀2),3)、大平哲也2),3)、前田正治2),4)、岡崎可奈子2),3)、高橋敦史2),5)、川崎幸彦2),6)、佐藤博亮2),7)、大津留晶2),8)、島袋充生2),9)、風間順一郎2),10)、橋本重厚2)、細矢光亮2),6)、安村誠司2),11)、矢部博興2),12)、大戸斉2)、神谷研二2) |
掲載誌 | Medicine. 2020 Jan;99(1):e18486. |
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