研究・論文
Age dependence of individual external doses in an early stage after the Fukushima nuclear accident
原発事故後初期の外部被ばく個人線量の年齢依存性
要約
東京電力福島第一原子力発電所の事故後、県民個々人が受けた外部被ばく線量を評価するために、福島県「県民健康調査」の基本調査が開始されました。基本調査は、事故後4ヶ月間の行動(居場所)の記録を問診票に記入・提出していただき、当時の空間線量率マップとデジタル化された行動記録とをコンピュータプログラム上で重ね合わせることによって、個人ごとの外部被ばく線量を推計する調査です。
一方で、原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)は2013年の福島事故報告書の中で、モデル計算によって事故後1年間の被ばく線量を年齢群別、市町村別に推計しています。これによると、非避難地域の外部被ばく線量については、同じ市町村でも幼児(0歳から5歳)は成人(16歳以上)の約1.7倍の線量、子ども(6歳から15歳)は成人の約1.4倍の線量と見積もっていました。これは、UNSCEAR が仮定した年齢群別の屋外滞在時間や体格などに起因するものです。
しかしながら、基本調査による外部被ばく線量を UNSCEAR と同じ年齢群に分けて集計したところ、非避難地域における幼児の線量は成人の線量の1.08倍、子どもの線量は成人の線量の1.06倍という結果が出ました。UNSCEAR によるモデル計算と比べて、実際の行動記録に基づく基本調査の線量は年齢依存性が小さく、幼児や子供の線量は成人とそれほど変わらないことが分かりました。
また、避難地域では、これらの線量の比はそれぞれ0.82倍(成人に対する幼児の線量)、0.87倍(成人に対する子どもの線量)となりました。これは幼児や子どもは、成人に比べて早く避難したためではないか、と考えられます。
書誌情報
タイトル | Age dependence of individual external doses in an early stage after the Fukushima nuclear accident |
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著者 |
石川徹夫1)、安村誠司1)、赤羽恵一2)、米内俊祐2)、大津留晶1)、坂井晃1)、大平哲也1)、神谷研二1),3) |
掲載誌 | Radiation Protection Dosimetry. 2020 Jun 13;188(2):238-245. |
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