研究・論文
The latest update on individual external doses in an early stage after the Fukushima nuclear accident
原発事故後初期の外部被ばく個人線量に関する最新のアップデート
要約
東京電力福島第一原子力発電所事故の後、県民個々人が受けた外部被ばく線量を評価するために、福島県「県民健康調査」の基本調査が開始されました。基本調査は、事故後4ヶ月間の行動(居場所)の記録を問診票に記入・提出していただき、当時の空間線量率マップとデジタル化された行動記録とをコンピュータプログラム上で重ね合わせることによって、個人ごとの外部被ばく線量を推計する調査です。
基本調査は今でも継続しており、2019年3月31日までに事故後4ヶ月間の線量推計が終了した方は46万5,999人にまで達しました。基本調査の主要な結果は、2015年に論文として発表していますが、その発表以降も線量推計済みの人数が増加したため、最新の状況を本論文にて報告します。
結果として1mSvごとの線量分布は、2015年の論文で発表した分布とほとんど変わりませんでした。また、最近では、自主的な問診票の返送は少なくなっており、甲状腺検査会場などでの問診票書き方支援の活動によって集められた問診票が大部分を占めています。このため回答者に偏りが生じて、線量分布が以前と違ったものになる可能性も考えられます。さらに問診票に記入頂く行動記録は、回答者の記憶に基づいて記入されたものです。そのため事故から年月が経過するにつれて当時の行動に関する記憶が薄れて、記入する行動記録も実際とかけ離れたものになる可能性も考えられました。
しかしながら、最近の回答から得られた線量分布と、以前に得られた線量分布とを比較したところ大差はなく、回答者の偏りや記憶の薄れによる線量推計への影響は小さいものであることが示唆されました。
書誌情報
タイトル | The latest update on individual external doses in an early stage after the Fukushima nuclear accident |
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著者 |
石川徹夫1)、安村誠司1)、赤羽恵一2)、米内俊祐2)、大津留晶1)、坂井晃1)、坂田律3)、大平哲也1)、神谷研二1),4) |
掲載誌 | Radiation Protection Dosimetry. 2019 Dec 31;187(3):402-406. |
関連リンク |