研究・論文
Trends in the Incidence of Sudden Deaths and Heart Diseases in Fukushima After the Great East Japan Earthquake
東日本大震災後の福島における突然死・心疾患の発症率の推移
要約
2011年3月11日、東日本大震災が東北地方を襲い、津波による原子力災害である「東京電力福島第一原子力発電所事故」が発生し、周囲に住む約16万人が避難を余儀なくされました。そこで私たちは、震災から3年後の福島県における心血管疾患や突然死(SD)の発症に及ぼす避難の影響を検討しました。避難区域を全体避難区域(第1区域)と一部避難区域(第2区域)に分け、県北地区を対照区域(第3区域)としました。死亡診断書データと福島県急性心筋梗塞登録調査のデータを照合しました。各地域について、突然死群、心筋梗塞(MI)群、MI 疑い群に該当した人の数を集計しました。年齢調整発症率を算出し、ポアソン回帰モデルを用いて3年間の調整発症率の差を分析しました。突然死群の年齢調整死亡率は、すべての区域で2011年の方が2012年または2013年よりも有意に高くみられました(P <0.05)。全死亡率は、震災直後の2011年3月の第1区域では、他の2つの区域よりも高くみられました。突然死の発症率も、2011年3月の第1区域では他の区域より高くみられました。
本研究の結果、東日本大震災直後は避難区域では突然死の発症率が高くなっていた傾向がみられましたが、一部避難区域及び県北ではそのような傾向はみられませんでした。一方、震災3年間において、避難区域及びその周辺区域の突然死、心筋梗塞等の心疾患の発症率の増加は明らかではありませんでした。
書誌情報
タイトル | Trends in the Incidence of Sudden Deaths and Heart Diseases in Fukushima After the Great East Japan Earthquake |
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著者 |
滝口舞1)、大平哲也2),3)、中野裕紀2),3)、弓屋結2),3)、八巻尚洋1)、義久精臣1)、中里和彦1)、鈴木均1)、石川徹夫2),4)、安村誠司2),5)、神谷研二2),6)、竹石恭知1)
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掲載誌 | Int Heart J. 2019 Nov 30;60(6):1253-1258 |
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