研究・論文
Experience in Individual Dose Estimation after the Fukushima Nuclear Accident Using Self-administered Questionnaires─ Activities to Encourage Responses to the Questionnaires and Resulting Response Rate ─
福島第一原発事故後に行われた自記式問診票による個人線量評価の経験-問診票の回答率を向上させる取り組みとその結果としての回答率-
要約
東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故後、県民個々人が受けた外部被ばく線量を評価するために、基本調査が開始されました。基本調査は、事故後4ヶ月間の行動(居場所)の記録を問診票に記入・提出していただき、当時の空間線量率マップとデジタル化された行動記録とをコンピュータプログラム上で重ね合わせることによって個人ごとの外部被ばく線量を推計する調査です。
この調査のため2011年夏から秋ごろにかけて、全県民に向けて基本調査問診票を発送し、問診票の記入・提出をお願いしてきました。発送後、数ヵ月経つと問診票の回答率は県全体で20%程度となりましたが、その後回答率は伸び悩みました。そのため、回答率を向上させるために様々な活動を行ってきました。
主な活動は、⑴簡易に記入できる問診票を作成すること、⑵様々な場所で県民の方に直接お声がけをして、問診票の記入支援を行うこと、⑶新聞、ラジオなどマスメディアを通して基本調査の広報を行い、問診票提出を促すこと、です。このような活動は2012年度から2015年度まで実施され、例えば⑵の活動の一つである甲状腺検査会場での記入支援は、2013年度から2015年度まで各年度で100回以上行われてきました。結果的には県全体の回答率は2018年3月末時点でも27.6%にとどまっていますが、震災当時0-9歳の方の回答率が50%近くになるなど回答率向上活動に対する一定の成果は得られました。
また、回答率を市町村単位で見ると、地域によってばらつきがあります。原発が立地する相双地域内では、多くの市町村で回答率が50%を超えました。空間線量率の高い市町村は回答率も高く、逆に空間線量率が低い市町村では回答率も低い傾向にあることが分かりました。
書誌情報
タイトル | Experience in Individual Dose Estimation after the Fukushima Nuclear Accident Using Self-administered Questionnaires─ Activities to Encourage Responses to the Questionnaires and Resulting Response Rate ─ |
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著者 |
石川徹夫1)、安村誠司1)、坂井晃1)、大津留晶1)、宮崎真1)、細矢光亮1)、大平哲也1)、神谷研二1) |
掲載誌 | Radiat Environ Med. 2019;8(2):118-126. |
関連リンク |