甲状腺検査

甲状腺検査の概要

目的

チョルノービリ(チェルノブイリ)原発事故後、放射性ヨウ素の内部被ばくによる健康被害として、小児の甲状腺がんが報告されたことから、福島県はチョルノービリに比べて放射性ヨウ素の被ばく線量が低いとされているが、子どもたちの甲状腺の状態を把握し、健康を長期に見守ることを目的に開始。

対象者とスケジュール

検査区分 期間 対象者
先行検査(検査1回目)
甲状腺の状態を把握
2011(平成23)年10月~2014(平成26)年3月 震災時概ね18歳以下の福島県民
1992(平成4)年4月2日~2011(平成23)年4月1日生まれの方
本格検査(検査2回目)
先行検査と比較
2014(平成26)年4月~2016(平成28)年3月 1992(平成4)年4月2日~2012(平成24)年4月1日生まれの方
本格検査(検査3回目)以降 20歳を超えるまでは2年ごと、25歳以降は25歳、30歳など、5年ごとの節目に検査を実施(25歳時の検査までは5年以上空けない)

検査5回目については、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020(令和2)~2022(令和4)年度の3ヶ年で実施。

検査方法

一次検査:超音波画像診断装置による検査

二次検査:詳細な超音波検査、血液検査、尿検査。医師が必要と判断した場合は、穿刺吸引細胞診を行う。

一次検査判定基準

判定 判定基準 方針
A 正常範囲と思われるもの
A1 のう胞や結節を認めない 2(または5)年後の一次検査
A2 5.0㎜以下の結節あるいは20.0㎜以下ののう胞
B 5.1㎜以上の結節あるいは20.1㎜以上ののう胞 二次検査
C ただちに精査が必要と思われるもの** ただちに二次検査

*5.0㎜以下の結節でも超音波画像によってはB判定とすることがある

** 甲状腺結節の甲状腺外組織への浸潤が疑われる場合、3㎝以上の巨大リンパ節転移(Large N)が認められる場合などが該当する

二次検査細胞診実施基準

※1 のう胞の成分をほとんど含まない結節
※2 FNAC:穿刺吸引細胞診

実施状況

先行検査(検査1回目) ※2018(平成30)年3月31日現在

  • 実施期間 2011(平成23)年10月~2014(平成26)年3月
  • 調査対象者 367,637人
  • 受診者(一次検査) 300,472人
  • A1・A2判定者 298,178人
  • B判定者 2,293人
  • 受診者(二次検査) 2,130人
  • 二次検査結果確定者 2,091人
  • 細胞診受診者 547人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

細胞診等で悪性ないし悪性疑いだった116人の年齢分布

本格検査(検査2回目) ※2021(令和3)年3月31日現在

  • 実施期間 2014(平成26)年4月~2016(平成28)年3月
  • 調査対象者 381,237人
  • 受診者(一次検査) 270,552人
  • A1・A2判定者 268,322人
  • B判定者 2,230人
  • 受診者(二次検査) 1,877人
  • 二次検査結果確定者 1,834人
  • 細胞診受診者 207人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

細胞診等で悪性ないし悪性疑いだった71人の年齢分布

本格検査(検査3回目) ※2021(令和3)年3月31日現在

  • 実施期間 2016(平成28)年5月~2018(平成30)年3月
  • 調査対象者 336,667人
  • 受診者(一次検査) 217,922人
  • A1・A2判定者 216,420人
  • B判定者 1,502人
  • 受診者(二次検査) 1,104人
  • 二次検査結果確定者 1,068人
  • 細胞診受診者 79人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

細胞診等で悪性ないし悪性疑いだった31人の年齢分布

本格検査(検査4回目) ※2022(令和4)年6月30日現在

  • 実施期間 2018(平成30)年4月~2020(令和2)年3月
  • 調査対象者 294,228人
  • 受診者(一次検査) 183,410人
  • A1・A2判定者 182,016人
  • B判定者 1,394人
  • 受診者(二次検査) 1,036人
  • 二次検査結果確定者 1,016人
  • 細胞診受診者 91人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

細胞診等で悪性ないし悪性疑いだった39人の年齢分布

本格検査(検査5回目) ※2024(令和6)年12月31日現在

  • 実施期間 2020(令和2)年4月~2023(令和5)年3月
  • 調査対象者 252,936人
  • 受診者(一次検査) 113,959人
  • A1・A2判定者 112,613人
  • B判定者 1,346人
  • 受診者(二次検査) 1,116人
  • 二次検査結果確定者 1,101人
  • 細胞診受診者 101人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

細胞診等で悪性ないし悪性疑いだった50人の年齢分布

本格検査(検査6回目) ※2025(令和7)年3月31日現在

  • 実施期間 2023(令和5)年4月~2025(令和7)年3月
  • 調査対象者 211,929人
  • 受診者(一次検査) 68,921人
  • 一次検査結果判定者 68,439人
  • A1・A2判定者 67,469人
  • B判定者 970人
  • 受診者(二次検査) 670人
  • 二次検査結果確定者 608人
  • 細胞診受診者 34人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

細胞診等で悪性ないし悪性疑いだった15人の年齢分布

25歳時の節目の検査 ※2025(令和7)年3月31日現在

  • 実施期間 2017(平成29)年5月~
  • 調査対象者 169,956人
  • 受診者(一次検査) 13,840人
  • 一次検査結果判定者 13,775人
  • A1・A2判定者 13,003人
  • B判定者 772人
  • 受診者(二次検査) 604人
  • 二次検査結果確定者 592人
  • 細胞診受診者 54人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

細胞診等で悪性ないし悪性疑いだった26人の年齢分布

※各年度で25歳を迎える方(平成4年度~平成11年度生まれの方)

30歳時の節目の検査 ※2025(令和7)年3月31日現在

  • 実施期間 2022(令和4)年4月~
  • 調査対象者 66,542人
  • 受診者(一次検査) 4,193人
  • 一次検査結果判定者 4,054人
  • A1・A2判定者 3,699人
  • B判定者 355人
  • 受診者(二次検査) 229人
  • 二次検査結果確定者 218人
  • 細胞診受診者 23人

判定結果

一次検査の結果

二次検査の結果

※各年度で30歳を迎える方(平成4年度~平成6年度生まれの方)

結果に対する評価

先行検査(検査1回目)から本格検査(検査5回目)までの評価

「先行検査から検査5回目までにおいて、甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連があるとは認められなかった。」
「検査4回目までのまとめより多角的・重層的な解析を行うことができたことを踏まえると、検査4回目までのまとめの段階より明確であると言える。」

この評価の主な理由

出典:2025(令和7)年7月 第56回「県民健康調査」検討委員会 資料5-2から一部抜粋

先行検査(検査1回目)から本格検査(検査4回目)までの評価

「先行検査から検査4回目までにおいて、甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない」

この評価の主な理由

出典:2023(令和5)年11月 第49回「県民健康調査」検討委員会 資料3-2から一部抜粋

本格検査(検査2回目)結果の評価

「現時点において、甲状腺検査本格検査(検査2回目)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない。」

この評価の主な理由

※UNSCEAR:国連科学委員会

出典:2019(令和元)年10月 第36回「県民健康調査」検討委員会 資料1-1、1-2から一部抜粋

先行検査(検査1回目)結果の評価

これまでに発見された甲状腺がんについては、「総合的に判断して、放射線の影響とは考えにくい」

この評価の主な理由

出典:「平成28年3月 福島県県民健康調査検討委員会 県民健康調査における中間取りまとめ」から一部抜粋

甲状腺検査に関する直近の「県民健康調査」検討委員会への報告は、福島県ホームページをご覧ください。

第57回「県民健康調査」検討委員会