こころの健康度・生活習慣に関する調査

こころの健康度・生活習慣に関する調査(ここから調査)の概要

目的

東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故の体験やこれらの災害による避難生活により、多くの方が不安やストレスを抱えていることから、県民のこころやからだの健康状態と生活習慣などを正しく把握し、一人ひとりに寄り添った保健・医療・福祉に係る適切なケアを提供することを目的に開始。

対象者

  • 2011(平成23)年3月11日から2012(平成24)年4月1日までに対象地域*1に住民登録をしていた方。(なお、対象地域*1から転出後も対象)
  • 調査年度の4月1日時点で対象地域*1に住民登録をしていた方。
  • 上記以外で基本調査の結果、必要と認められた方。

*1
対象地域:2011(平成23)年時に避難区域等に指定された市町村等
広野町、楢葉町、富岡町、川内村、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村、飯舘村、南相馬市、田村市、川俣町、伊達市の一部(特定避難勧奨地点の属する区域)

調査方法・調査項目(2024(令和6)年度)

記名式、自記式調査。対象者の年齢区分に応じた調査票を送付し、本人又は保護者が回答。

年齢区分 記入者 調査票の主な項目
0歳〜3歳 保護者回答 健康状態、身長、体重、運動、育児の自信、発達や行動の悩み、相談先の有無、新型コロナウイルス感染症による生活への支障、自由記載、等
4歳〜6歳 保護者回答 健康状態、身長、体重、運動、SDQ、発達やこころの問題の有無、相談先の有無、新型コロナウイルス感染症による生活への支障、自由記載、等
小学生 保護者回答 健康状態、身長、体重、運動、SDQ、発達やこころの問題の有無、相談先の有無、新型コロナウイルス感染症による生活への支障、自由記載、等
中学生 保護者回答(一部本人) 健康状態、身長、体重、運動、SDQ、発達やこころの問題の有無、相談先の有無、新型コロナウイルス感染症による生活への支障、自由記載、等
一般 本人 主観的健康状態、身長、体重、既往歴(高血圧、糖尿病、精神疾患)、健診受診、睡眠、運動、生活状況(現在の住まい、勤務状況)、喫煙、飲酒、K6、新型コロナウイルス感染症による生活への支障、放射線の健康影響、相談先の有無、自由記載、等

実施状況

2023(令和5)年度調査(2024(令和6)年10月31日現在)

  • 調査対象者 190,748人
    子ども(0歳~15歳) 16,601人
    一般(16歳以上) 174,147人
  • 回答者(回答率) 33,033人(17.3%)
    子ども(0歳~15歳) 1,661人(10.0%)
    一般(16歳以上) 31,372人(18.0%)

主な調査結果の経年変化

子どもの情緒と行動(SDQ)16点以上の割合の推移

  • 情緒や行動の問題等を有するハイリスクの子どもの割合は、平成23年度はどの年代でも高く、とりわけ4歳~6歳は24.4%と高い値となりました。その後、全ての年代で減少し、先行研究のハイリスクの子どもの割合(9.5%)とほとんど変わりない程度まで改善しています。

※先行研究で示されている基準

一般の全般的精神健康状態(K6)13点以上の割合の推移

  • 平成23年度には、うつ病などの気分障害や不安障害の可能性があり、支援が必要と考えられる方の割合は、14.6%でした。その後改善傾向にあり、令和5年度は5.4%でした。被災していない一般人口を対象とした先行研究における割合(3%)と比較しても高い値を示しています。引き続き慎重なケアと見守りが必要と考えられます。

※先行研究で示されている基準

一般の普段の運動頻度の推移

  • 普段の運動頻度について、「ほとんど毎日している」または「週に2~4回している」と回答した人の割合は、令和5年度は43.9%でした。全国調査の結果によると、1週間の運動日数が2日以上と回答した人(20歳以上)の割合は44.8%であり、単純な比較はできないものの、運動習慣について全国水準と同等であることがうかがわれます。

一般の問題飲酒(CAGE)2点以上の割合の推移

  • 令和5年度の問題飲酒のハイリスクの人の割合は、男性13.9%、女性6.5%で、それぞれ減少傾向にあります。

一般の新型コロナウイルス感染症の流行による生活への支障

  • 令和5年度の新型コロナウイルス感染症の生活への支障について、「非常にあった」または「ある程度あった」と回答した人の割合は26.5%と令和4年度と比べ低くなりました。

※端数処理を行っているため、割合の合計が100%にならない場合があります。

一般の放射線の次世代への健康影響の認識(リスク認知)割合の推移

  • 令和5年度の放射線の次世代への健康影響の認識(リスク認知)について、「可能性は高い」または「可能性は非常に高い」と回答した人の割合は19.7%で、減少傾向にあります。

要支援者への支援の実施

2023(令和5)年度調査(2024(令和6)年12日31日現在)

調査回答者のうち、こころの健康度および生活習慣上、相談・支援の必要があると判断された方々に、電話による支援を行い、状況把握の上、改善のための助言や保健・医療機関への受診勧奨等を行いました。

子どもの支援対象者数及び支援実施者数

一般の支援対象者及び支援実施者数

※基準Ⅰ
基準Ⅰの対象者には、公認心理師、保健師、看護師等による「ここから健康支援チーム」が電話をかけて相談対応を行いました(以下、電話支援)。電話支援では対象者の健康状態に関して聞き取りを行うとともに、対象者が現在抱える問題を確認し、必要に応じて保健・医療機関等への受診勧奨を行いました。

※基準Ⅱ
基準Ⅱの対象者には、電話支援希望を確認するハガキを送付しました。返信されたハガキに電話支援希望の記載がある方、もしくは返信内容から支援が必要と判断された方には、電話支援を行いました。

電話支援対象者の相談内容(子ども)

人数(割合)

平成24年度 平成27年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度
被災による不安、放射線・被ばく等の不安
147人(23.6%)
学校に関すること
54人(21.6%)
学校に関すること
25人(26.3%)
学校に関すること
38人(35.5%)
学校に関すること
35人(29.7%)
学校に関すること
22人(32.4%)
学校に関すること
136人(21.8%)
身体面の健康
15人(6.0%)
日常生活や習慣
18人(18.9%)
怒り・イライラ・暴力
15人(14.0%)
身体面の健康
15人(12.7%)
日常生活や習慣
9人(13.2%)
身体面の健康
102人(16.4%)
睡眠
9人(3.6%)
怒り・イライラ・暴力
12人(12.6%)
日常生活や習慣
14人(13.1%)
日常生活や習慣
13人(11.0%)
身体面の健康
6人(8.8%)
怒り・イライラ・暴力
90人(14.4%)
怒り・イライラ・暴力
8人(3.2%)
睡眠
9人(9.5%)
将来への不安
9人(8.4%)
怒り・イライラ・暴力
11人(9.3%)
睡眠
6人(8.8%)
抑うつ
83人(13.3%)
食習慣
4人(1.6%)
身体面の健康
食習慣
各6人(6.3%)
睡眠
8人(7.5%)
睡眠
8人(6.8%)
将来への不安
5人(7.4%)

※平成23年度は集計方法が異なるため、平成24年度より記載
※延べ相談内容件数

電話支援対象者の相談内容(一般)

人数(割合)

平成24年度 平成27年度 令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度
身体面の健康
2,761人(46.1%)
身体面の健康
1,145人(44.6%)
身体面の健康
866人(44.0%)
身体面の健康
1,233人(48.1%)
身体面の健康
1,086人(46.6%)
身体面の健康
831人(42.5%)
睡眠
2,349人(39.2%)
睡眠
798人(31.1%)
睡眠
583人(29.6%)
睡眠
680人(26.5%)
睡眠
551人(23.6%)
睡眠
436人(22.3%)
抑うつ
1,417人(23.7%)
抑うつ
342人(13.3%)
抑うつ
296人(15.0%)
抑うつ
451人(17.6%)
抑うつ
371人(15.9%)
抑うつ
268人(13.7%)
家族関係
1,058人(17.7%)
食習慣
236人(9.2%)
食習慣
249人(12.7%)
運動
333人(13.0%)
運動
293人(12.6%)
運動
243人(12.4%)
住環境
1,049人(17.5%)
将来への不安
235人(9.2%)
運動
245人(12.4%)
食習慣
272人(10.6%)
食習慣
270人(11.6%)
食習慣
238人(12.2%)

※平成23年度は集計方法が異なるため、平成24年度より記載
※延べ相談内容件数

こころの健康度・生活習慣に関する調査に関する直近の「県民健康調査」検討委員会への報告は、福島県ホームページをご覧ください。

第56回「県民健康調査」検討委員会

まとめ

こころの健康度・生活習慣に関する調査(ここから調査)の果たしてきた役割

調査結果

支援結果